カウンター 読書日記  ●陸軍の裏側を見た吉薗周蔵の手記(49)―2
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 ●陸軍の裏側を見た吉薗周蔵の手記(49)―2
 
 ●陸軍の裏側を見た吉薗周蔵の手記(49)―2

 
 ★「古学」「惟神道」「チゥトン系科学」の三本建 

  
 要するに、公武合体理念の淵源が、織豊政権の政治思想と江戸初期以来伏流していた復古思想にあることを説くのだが、ここに「三本建の教学復古運動」とは、第一が「孔子以後諸子百家によって歪められてきた儒学、ことに中世以降わが武門政権唯一の教学として中華政権に対する日本の経済的付属関係を強化する上に役立ってきた宋学に対する反抗運動、すなわち原始儒学舌学)の唱道」で、これを成したる者が山鹿素行・伊藤仁斎・伊藤東涯・荻生徂徠であった。

 第二は「奈良朝以降、平安町・鎌倉時代・室町時代の久しきに亘り、日本固有の教学である惟神道を剋して、国民思想の上に大盤石の如く被さってきた本地垂迹説及び諸神宿業説の廃毀運動で、支那仏教の重圧を排除して国民の思想生活を本地垂迹説もしくは諸神宿業説の羈絆から解放する」たえに努力した先人が、賀茂真淵・本居宣長・契沖・伴信友・平田篤胤である。
 
 第三の流れは「蘭学に根源するチゥトン系科学思想の摂取である。徳川時代は一般に鎖国時代とされ、この間に日本文化が欧米先進国に比較し二百年も三百年も遅れたかのやうに成心づけられて居るが、それは甚だしい誤りである。徳川時代は経済的にも思想的にも決して絶対の鎖国主義ではなく、寧ろ貿易統制時代といった方が当たって居る。慶長五年、徳川家康はオランダ東インド会社の商船・リーフデ号の船員を接見し、北方エウロッパに発祥成長しつつある科学文化が、南方エウロッパのラテン系宗教文化と全くその本質を異にして居る事実を知った(中略)。若し日本にエウロッパ文化を排斥した事実があるとするならば、それはラテン系宗教文化を排斥したのであって、チウトン系科学文化を排斥したのではなかった(中略)。それらの科学思想に促されて、日本独自の科学思想も相当なものを生んで居る」として、三浦梅園・志筑忠雄・帆足万里を挙げ、「廃仏毀釈の急先鋒の平田篤胤でさへ、蘭学には非常に好意と尊厳とを持って居った。日本の復古思想は決して反動思想ではなかった」という。
 
 白柳の結論は、「この三本建の教学自主運動が、幕末近海に黒船の出没するまでの間に、封建的旧体制の廃残物とそれの発する有毒ガスとに充ち満ちた日本国土の清掃作業を完了して、新しい皇室中心主義に基調する近代日本建設の工匠達を迎える準備を整えて居たのである」と言うにあり、「開国とは実質的には幕府による貿易統制の撤廃を意味するだけのこと」と解されるが、本格的開国となればラテン系一神教思想と文化の受け入れも不可避で、因って幕府は祖法のキリシタン禁令を保てなくなり、結局、開国は幕府倒壊・王制復古の形で実顕せざるを得ないこととなったのであろう。 

 
 ★民主党「平成の改革」は「天保の改革」の猿真似 

 
 維新の端緒は、光格上皇の崩御と大御所・家斉の薨去から始まる「天保の改革」の失敗である。「天保の改革」(一八四一~三)は、大御所・家斉の薨去を契機として老中首座・水野忠邦が幕府側から幕政の窮迫を改革せんとしたもので、その要点は、①人返し令、②株仲間解散命令、③金融統制令、④上地令が主なるもので、外交政策では⑤「外国船打払令」を「薪水給与令」に改訂し、また⑥として「奢侈の禁止」と「冗費の節減」であった。

 ①は、貨幣経済の発達により農村から都市部へ人口が移動して、年貢の徴求に支障が出たため、江戸滞在の農村出身者を強制的に帰郷させて年貢の安定化を確保しようとしたものである。②は、商人による流通独占を排除して経済の自由化を図ったが、既存流通システムの阻害により却って混乱を来した。③は、債権回収に公権力が介入せず当事者の話し合いに任せる「相対済まし令」に加え、旗本・御家人の札差に対する債務の金利を切り捨て元金だけを年賦払いとし、さらに統制年利も一五%から一二パーセントに切り下げて旗本御家人を救済したが、当然ながら貸し渋りが生じた。④は、江戸・大坂の周囲に散在する大名旗本の領地を没収して幕府の直轄地とする行政区画の根本的改革案で、大都市の治安を維持して幕府の行政力を強化する狙いがあった。⑤は二年前に勃発したアヘン戦争の結果から、外患を考慮した外交政策の転換である。この他、⑥の「贅沢の禁止」と「無駄な支出の削減」はどの時代の諸改革にも付き物である。

 今年(*2010年)のことだが、対米従属主義政官財の三面癒着を基軸とした自民党体制からの脱却を叫ぶ民主党が参院選で勝利して、「平成の改革」を実行に移そうとした。そのマニュフェストは余りにも「天保の改革」に似て正にパロディを成すが、今日の世相がそれだけ天保時代に似ている訳だから笑うに笑えない。
 
 まず①が出生の増加を狙う「子供手当」で、耕作人口の確保を図った「人返し令」のパロディであるが、財政負担の増大に比して効果が明確でなく、大半は親のパチンコ代に流れる見込みと聞く。②の「米作農家の戸別補償」と「高速料金無料化」は、流通合理化を短絡的に図った「株仲間解散」のパロディとなり、経済学の基本的法則の効果で前者は市場米価の暴落を招き、後者は代替手段の高速バス・フェリーから新幹線・航空路線に至るまで経営に大打撃をもたらした。③は最高裁が認めた「過払い返還請求権」(金利上限令)を後追いした「債務総額を年収三分の一に制限する令」で、サラ金の取り立てに起因する凶悪犯罪と自殺の防遏を図ったのは好いが、「金融統制策」のパロディとして、貸し渋りが生じるのは昔も今も同じである。むしろこれにより、サラ金苦が直接生活難に転じるため、路上犯罪は激増するが自殺件数は減らず、知人・家族間の恩借の踏み倒しが人間的紐帯の分断をもたらし、社会の劣化が目に見えている。④は「消費税率引き上げ」で、党首が口にしただけで民主党は参院選挙を惨敗し、政策の表面に出せなかった。これが「天保改革」の根本政策として諸侯領地の区画整理を目指したものの、諸大名の猛烈な反感を招いて撤回を余儀なくされ、結局改革挫折の直接的要因となった「上地令」のパロディである。さらに、⑤の「子供手当」が出稼ぎ華僑の在郷子女までも対象にし、「教科書無償化」を反日教育機関の朝鮮学校にも及ばすのは、「薪水支給令」の善隣外交精神の行き過ぎたパロディである。⑥の、予算削減の過程を劇場ショー化した「業務仕分け」は「冗費削減」のパロディで、これだけはマスコミの人気を呼んで興業的な成功を収めた。

 上記諸施策は悉く民主党の集票手段に過ぎず、個別利得をぶら下げて低所得層の民心を誘引し、或いは隣国にへつらって友好発言を乞い、以て得票を買わんとの意図がミエミエである。一旦は総選挙に勝利した民主党も、政策の大本が無益なバラマキ政策であることが露呈し、且つは対米従属の現況を無視して隣国に迎合する軽薄さが、世界から見透かされる体たらくである。これでは「平成の改革」にかけた国民の期待は無残に破れるのが当然で、反面教師の役を果たした民主党は自壊に向かうしかないが、惟うにこれこそ「真の改革」のために国民が払わざるを得ない必要コストであったのであろう。

 なお、本稿第四十七回の内容の一部を訂正しなければならない。①K家は、江戸中期に加太村に移って来て造船業を営み、後に材木商に転じた富豪で、三代前に淡路島の船越家から養子を迎えた。②明治二十七年生まれで、一時松下トヨノと縁組の話があったK家の先々代は、トヨノが加太村に出現した時のことを「まるで天狗さんが連れてきたように」と語っていた。③トヨノが相続した和宮の秘宝は、「徳川家の蔵番をしていた渋沢栄一が、トヨノの処に持参した」とのことである。また④K家の先代は、和宮には謎があると感じていたが、明治十年から後にも生きていたと断言していたわけではない。以上、謹んで訂正いたします。

 **************

 ●陸軍の裏側を見た吉薗周蔵の手記(49)   <了>。 

 

 
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The opening of Japan
最初の開国は明治維新である。二番目の開国は戦後である。三番目の開国はこれからである。


考え方にはいろいろある。自分たちの考え方が理に合わないものであることを証明するのは難しいことである。だが、それが証明できなければ、おかしな考え方を改めることも難しい。

http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/terasima/diary/200812
【2011/01/30 18:14】 URL | noga #sqx2p0JE [ 編集]


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