カウンター 読書日記 ●『米軍のグアム統合計画』ー2
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●『米軍のグアム統合計画』ー2
 
 ●『米軍のグアム統合計画』   吉田健正  高文研  2010.2.10 刊

 ■序章 米軍再編とグアム  <続き> 

 
 ★「環境影響評価案」が伝えるグアム軍事拠点化の全容

 


 本書では、グアムの歴史、政治的地位、軍事史、経済などを見ながら、米国がなぜグアム基地拡大計画を進めているのか、米側の資料をもとに検証したい。

 第1章では、グアムとテニアンが果たしてきた軍事的役割の歴史と、現状を概観する。太平洋戦争における激戦地、その後の対日爆撃拠点としての両島が担わされてきた役割、朝鮮戦争やベトナム戦争でグアムが米国の出撃基地として使われた歴史である。ここではまた、グアムとテニアンの米国領としての政治的地位についても説明を加えた。

 第Ⅱ章では、在沖米軍基地に関する一九九〇年代から二〇〇六年の在日米軍再編ロードマップに至る経過を追う。小泉政権下の日米軍事同盟強化、沖縄の基地負担軽減という名を借りての海兵隊普天間航空基地の沖縄県内移設や沖縄からグアムヘの海兵隊員・家族の移転に関する合意について、その背景や狙いを理解する助けになるだろう。米国から見たグアムの戦略的適性についても、詳しく触れた。

 第Ⅲ章では、在沖米軍基地の規模や形態に照らしながら、米海軍施設本部の「環境影響評価案」に基づいて、グアム基地建設計画の概要を紹介する。とくに普天間基地の沖縄県内(名護市辺野古)移設に関して、この文書が、グアム北端の広大で、しかも冷戦終結後はそれほど使用されていなかったアンダーセン空軍基地とその周辺を、司令部機能、居住機能、飛行場機能、航空訓練機能などの観点から推奨している点を検証する。この文書によれば、海に面する北東側と北西側にそれぞれ二本の滑走路を備えるアンダーセン空軍基地は、沖縄から移転する第三海兵遠征隊の飛行部隊が固定翼機やヘリコプターの飛行訓練、離着陸訓練、搭乗・搭載訓練を行う条件(実現可能性)を満たして余りある。

 米国は、在沖海兵隊の移設について、オーストラリア、フィリピン、韓国などのアジア・太平洋諸国に打診したが、いずれも難色を示した。
日本政府だけが、普天間航空基地の国内(沖縄県内)を受け入れただけでなく、海兵隊のグアム移転にからむ施設・インフラ整備費の分担(六割強)にも応じた。日本と地域の安全保障を日米両国で担うためである。その意味では、グアムにおける基地建設は。【日米共同計画】だと言えよう。本書で触れているように、日本の自衛隊機はすでにアンダーセン空軍基地やグアム近海で米軍と合同演習を行っている。米国がなぜグアムに白羽の矢を立てたのかについても説明した。

 グアム基地整備・拡張計画の中心は、沖縄から移転する海兵隊の、飛行訓練だけでなく、射撃訓練、強襲揚陸訓練、都市型戦闘訓練などのためのさまざまな訓練施設、隊員と家族のための居住空間を準備しようというものだが、「環境影響評価案」によれば、訓練は北マリアナのテニアンでも行われる。グアムでは旧海兵隊飛行場や弾薬庫地区と接するアプラ港に原子力空母の接岸埠頭や水際作戦を行う強襲揚陸艦の接岸埠頭を整備する、またアンダーセン空軍基地に接し、海兵隊司令部が予定されている地域に陸軍ミサイル防衛任務隊を新設する計画も盛り込まれている。そこで、第Ⅳ章では、これらの計画を要約して、米国のグアム基地強化構想の全容が把握できるようにしたい。

 最後の第V章では、米軍基地拡張計画に対するグアム住民の声を紹介する。基地拡張計画は、これまで観光収入と基地収入の落ち込みにより悪化したグアム経済を浮揚させると期待する向きもあるが、建設事業は一時的なものであり、しかも民生には考慮が払われていない。長期的には、基地関連の事故や事件、グアムの径済、人口構戌、社会、文化、自然環境への悪影響を懸念する声も強い。グアム住民は、米国の市民権をもちながら米国の「未編入領土」すなわち植民地として、人権憲章を含む合衆国憲法の全面的適用を受けない。しかもグアム政府職員も先住民のチャモロ人も多くが基地収入に依存しているため、基地拡張には反対の声を挙げにくい、という現実もある。

 なお各章には、「グアムの政治的地位」や「トランスフォメーション」のように、本文で十分説明できなかったことがらについて、「注記」に似たメモを加えた。

 本書は、対米同時多発テロ(二〇〇一年)後の米国のアジア・太平洋戦略と安全保障政策、それを支える「日米同盟」を理解する上で貴重な資料になり得ると思う。膨大な、しかも「仮定法」(もし環境影響評価手続きが完了すれば・・・、もし予算がつけば・・・)を多用した資料を短期間で読み込み、紹介しようとしたため、十分かつ正確に計画の概要と意図をお伝えできたか、不安がないわけではないが、沖縄の普天間基地移設問題に深く関わる重大な事実を一日でも早く伝えたいという思いにせかされ、何よりも時間を優先させた。

 本書「はじめに」の最後(四ページ)に述べたように、防衛省(ホームページ)でも、二〇一〇年一月末現在、海兵隊のグアム移転計画はすでに実施の段階に入っていることを告げている。

 統合グアム計画室のジョン・ジャクソン室長も、「われわれの計画に変更はない。今年、(基地建設計画の着手に必要な環境影響評価最終報告がまとまったあと)決定書が署名され次第、米軍は米国政府と日本政府が資金提供するプロジェクトに対する建設請負契約を結ぶ予定である」と述べている(グアムの日刊紙『パシフィツク・デイリー・ニューズ』二〇一〇年一月二七日付)。日本国民を置き去りにして、事態は確実に進行しているのである。

 **************

 
 ■序章 米軍再編とグアム   <了>

  続く。

 


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