カウンター 読書日記 ●『米軍のグアム統合計画』ー1
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●『米軍のグアム統合計画』ー1
 
 ●『米軍のグアム統合計画ー沖縄の海兵隊はグアムへ行く』  吉田健正(よしだ・けんせい)
   高文研 2010.2.10 刊 

 
 ■序章 米軍再編とグアム

 ★観光の島から再び軍事拠点へ 

 
 豊かな自然に囲まれた常夏の観光地グアム。
 この地を訪れる観光客は、年間一一四万人(二〇〇八年)。うち八五万人が日本からの訪問者だった。日本人観光客が四人のうち三人を占め、二位以下の米軍関係者観光客、韓国や台湾からの観光客を大きく引き離している。グアム観光の中心地、「恋人岬」などで知られる西沿岸のタモンには、日本資本のリゾートホテルも立ち並ぶ。

 そのグアムで、いま、米国が大規模な前方展開軍事基地の建設計画を進めている、太平洋戦争以来、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争で重要な軍事的役割を果たしたグアムが、再び軍事拠点として生まれ変わろうとしているのである。

 それとともに、一部の観光地を除いて電気・水道・道路などのインフラ整備が遅れていた多くの地域でも開発が進むことになる。グアムの地形や自然も変わり、経済も社会も大きく変貌する可能性がある。軍事基地拡張計画が完了すれば、グアムの陸上、近海、上空には、アジア太平洋に展開する米軍だけでなく日本の自衛隊なども訓練や作戦にやってくる。グアム自身が大きな転機を迎えようとしている。

 東南アジア系と見られる人々(チャモロ族)が住み着いたグアムは、「大航海時代」に世界一周を企てたマゼランの一行が到着し、一五六五年にスペイン植民地となったが、一八九八年のアメリカ・スペイン(米西)戦争で米国領に変わった。真っ白い砂浜、サンゴ礁特有のエメラルド色の海、椰子の木、亜熱帯気候、独特の石柱や言語・舞踊・音楽・風俗で知られ、「南海の楽園」とも称される。足跡の形をした細長いグアムには、その歴史を反映して、スペイン統治、米国統治、太平洋戦争などの記憶を残す名所旧跡も多い。

 首都は、島中央部西岸に位置するハガニア(またはハガニャ。旧名アガナ)。大聖堂やヨハネ・パウロニ世教皇像などスペイン統治時代の名残を強くとどめる。島の人口はおよそ一七万人(二〇〇七年)だが、その内訳は多様だ。二〇〇〇年の調査によると、全人口の約三七%はチャモロ人、三八%がフィリピンや他の周辺の島々からの移住者、六%は中国などのアジア系、七%が米本土などからのコーケイジアン(白人)移住者、そして一〇%が混血だという。したがって言語も、英語三八%、チャモロ語二二%、フィリピン語二二%と、入り混じる。

 「アメリカの一日が始まる場所」と言われるように、マリアナ諸島の南端(北緯13度28分、東経144度30分)、ハワイの西六一〇〇キロ、米本土西岸から一万キロに位置する米国最西端の領土である。東アジアにおける米国の同盟国・地域にも近い。韓国(ソウル)まで三二〇〇キロ、日本(東京)まで二五〇〇キロ、台湾(台北)まで二八〇〇キロ、フィリピン(マニラ)まで二六〇〇キロ、オーストラリア(シドニー)まで五〇〇〇キロという距離だ。
東アジア地域へは沖縄より若干遠いものの、ハワイやカリフォルニアからはより近い。

 この位置こそ、米国がグアムを西太平洋における重要な戦略的軍事拠点と考える最大の理由である。ハワイのホノルルに司令部を構え、米国本土西岸からアフリカ大陸東岸までの広大な一帯を管轄する米太平洋軍にとって、米本土やハワイより戦略的な位置にある。しかもグアムは、米国属領として米国憲法が全面的には適用されないだけでなく、同盟諸国の場合と異なり、基地建設や部隊の行動に関して条約上の制約も受けない。それに、淡路島とほぼ同じ面積(沖縄本島の約半分)しかなく、「ドット(点)」と称されるように、地図では針の先ほどしかないが、島の三分の一は米国防総省の所有地だ。

 グアムには、現在、アンダーセン空軍基地、原子力潜水艦や原子力空母が寄港するアプラ軍港、海軍弾薬庫地区、海軍通信基地などがおかれている。オロテ岬には海兵隊飛行場跡もある。太平洋戦争から冷戦時代にかけて米軍が。【不沈空母】あるいは。【槍の先端】と呼んできたこの島の基地は、一九八九年の冷戦終結後ほとんど放置され、道路、飲料水施設、港湾、滑走路なども荒れたままになっていた。強大な台風が電力網や電話網をずたずたにしてしまうこともある。最近になって滑走路のひとつが復旧されたアンダーセン空軍基地では、米本土、ハワイ、日本などから訓練のため爆撃機や戦闘機が飛来し、アプラ軍港にも原子力潜水艦などが寄港することかあるが、米国の前線基地として軍用機や艦船で「賑わった」ベトナム戦争当時の面影はない。空軍基地や軍港を抱えるこの中古【不沈空母】が、沖縄からの海兵隊移駐を契機に、新たに整備・拡大されようとしているのだ。

 在沖海兵隊のグアム移転に伴い、グアムの北一六〇キロに位置するテニアン島でも軍事訓練基地建設が進むことになる。南北二〇キロ、東西一〇キロのひし形をしたテニアンのほぼ三分の二(六四四〇ヘクタール)は、米国防総省が一九七六年に北マリアナ自治領政府から五〇年期限(延長可)で借りた軍用地である。北端の広大なハゴイ空軍基地を含むその北半分は軍事専用地、テニアン民間航空に近い南半分は民間に一時的に貸し出されて農耕地などとして利用されているリースバック地(LBA)で、島の南三分の一だけが非軍事用地だ。

 テニアンは長い間、とくに冷戦終結後、ハゴイ空軍基地に爆撃機や戦闘機が飛来してきたり、米軍が射撃訓練や上陸演習に使ったりする以外はほぼ放置されてきた。しかし今回の計画では、沖縄から移転する海兵隊の訓練施設がグアムだけでは足りないため、射撃演習場などの建設が構想されている。

 
 ★米軍計画に明示された普天間航空隊基地のグアム移転 

 
 グアムは、先述のとおり一犬軍事基地として、二〇世紀の大きな戦争で米軍の重要な出撃・補給拠点として利用されてきた。しかし冷戦終結後は、基地の縮小、訓練機能の縮小が相次ぎ、軍事基地の島というより、観光地としてのイメージが強くなった。米軍人の数も、わずか三〇〇〇人(二〇〇八年三月末現在)に減った。一九五〇年代に核弾頭とミサイルが持ち込まれ、ベトナム戦争時にB52を中心とする戦略爆撃機が絶え間なく離着陸していたアンダーセン空軍基地には、現在も爆撃機・戦闘機・偵察機などが訓練のため飛来し、かつては原子力潜水艦や原子力空母などがひんぱんに立ち寄っていたアプラ港は攻撃潜水艦などが補修や演習のために利用してはいるものの、以前とは比べられないほど利用度が減っている。
 ところが、今世紀に入って、このグアムが軍事基地として再び注目を浴びるようになった。

 きっかけは、二〇〇〇年の選挙で選出された◆ジョージ・W・ブッシュ大統領が導入したトランスフォメーション(二十一世紀に向けた軍事大変革)計画である。ブッシュ大統領の登場と二〇〇一年九月一一日に同政権と米国・世界を震憾させた同時多発テロ、そしてその直後に作成された「統合世界態勢・基地配置戦略(IGPBS)」と「四年ごとの国防政策レビュー(QDR)」イニシアチブを受けて、二〇〇二年十二月、日米両政府が日本とアジア太平洋における米軍再編の協議を開始。これにより、二〇〇五年一〇月二九日、「日米同盟一未来のための変革と再編(ATARA)」合意が生まれ、翌○六年五月一日、日本の小泉政権と米国のブッシュ政権の間で「再編実施のための日米ロードマップ」が合意された。
 この「ロードマップ」からわずか二か月後、米太平洋軍司令部は「グアム統合軍事開発計画」を発表した。そしてこの計画案は、二年後の○八年四月、国防総省の「グアム統合軍事マスタープラン素案」として承認され、翌○九年一一月にはマスタープラン(基本計画)を実現するための膨大な文書「環境影響評価案」(要約プラス九冊)が公表されたのである。

 こうして、グアムではいま、「ロードマップ」と「グアム統合軍事マスタープラン」を受けて、沖縄から移駐する海兵隊員およそ八千人、その家族九千人を受け入れるため、米国がアンダーセン空軍基地を整備し、空軍基地南西のフィネガヤンに司令部や住宅地域などを整備する事業を進めている。

 そこでこの海兵隊であるが、「ロードマップ」では、沖縄からグアムに移駐するのは海兵隊の司令部と支援部隊、および家族とされていた。
 ところが、米国防総省のグアム基地建設計画では、海兵隊普天間航空基地(普天間飛行場)の施設や訓練機能を、広大なアンダーセン空軍基地に移設する、また沖縄にある海兵隊の射撃演習場、都市型(対テロ)戦闘訓練場、ジャングル戦訓練場、そして沿岸強襲揚陸訓練場とそっくりの訓練施設を、島中東部の南アンダーセンやバリガダなどに設置する計画が含まれている。さらに、海兵隊がアプラ港沿岸の旧海兵隊飛行場を使用する、同沿岸に海兵隊用ヘリコプター着陸帯を建設する計画なども盛り込まれている。加えて、グアムの北に位置する米国自治領・北マリアナ諸島のテニアンの内陸部、沿岸、空域は、グアムに駐留する海兵隊の演習場となる。

 広大なアプラ港に位置する軍港には、既存の原子力潜水艦寄港埠頭に加えて、新たに原子力空母接岸埠頭を建設し、フィネガヤンには陸軍のミサイル防衛部隊も配備する予定だ。 

 
   続く。

 
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