カウンター 読書日記 ●『戦争依存症国家アメリカと日本』-1
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●『戦争依存症国家アメリカと日本』-1
 
 ●『戦争依存症国家アメリカ と日本』   吉田健正 高文研 2010.12.1刊 

 
 Ⅲ 米国政府の代弁者たちと大メディア
 
 ★日本の主要メディアに登場する米国「知日派」

 
 Ⅰ章で、いま米国で湧き起こっている軍事費削減を求める主張や運動を伝え、Ⅲ章では自国の国家予算の四分の一近く、世界の軍事費の半分近くを占める米国の巨大な軍事費について述べた。
 読者の中には、こうした事実を初めて知ったという人も少なくないにちがいない。というのも、こうしたことについて、日本の主要メディアが報じることは、きわめて少ないからだ。この国の大メディアは、米国が超軍事大国であることを容認して、その是非や影響は問わない。イラク戦争やアフガニスタン戦争の是非を問うこともない。軍事費膨張の陰でアメリカ国民の生活が脅かされているという報道もない。まして、米国における沖縄報道や、沖縄基地問題の解決を呼びかけるさまざまな団体の動きも伝えない。
 代わりに日本の主要メディアが伝えるのは、日米(軍事)同盟や在沖米軍の重要性を強調する、米国のいわゆる「知日派」の意見である。

 その「知日派」には、ブッシュ政権の下で対アジア・日本政策を担当した◆リチャード・アーミテージ元国務副長官をはじめ、◆マイケル・グリーン戦略国際問題研究所(CSIS)上級顧問・日本部長(元東アジア担当大統領補佐官兼アメリカ国家安全保障会議上級アジア部長)、◆トーマス・シーフアー元駐日大使らが挙げられる。
 このうちアーミテージ氏は、ベトナム戦争従軍中の一九七三年、パリで和平交渉が行われていることを知り、「途中で戦いを辞めるのは嫌だと言って海軍を去った」(天木直人ブログ「アーミテージの言葉」)とか、米国のアフガニスタン侵攻(二〇〇一年)に協力しなければパキスタンを「石器時代に戻す」とムシャラフ大統領を脅した(二〇〇六年九月二一日放送の米CBC番組での同大統領の証言)といった荒っぽい言辞で知られる元軍人だ。二〇〇一年九月の同時多発テロを受けてブッシュ大統領が対テロ戦争に乗り出したときは、日本に“Show the flag”(態度をはっきり示せ!)いう言葉で協力を求めたと報じられ、米国がイラク戦争を始めると日本に“boots on the ground”(実戦部隊派遣)を要求した。

 アーミテージ氏はまた「憲法九条は日米同盟の邪魔物だ-小泉演説に私は涙した、日本は遂に立ち上がった」という論文も書いている(『文藝春秋二〇〇四年三月号』。それによると、その前年十二月に小泉内閣が自衛隊のイラク派遣を決定したことについて、「戦後五〇年以上たち、日本は初めて、他国の治安維持と復興支援のために自ら自衛隊を派遣する決断をしたのです。これは自主的に他の連合国に参加するという意志の表れ」だと考えて、感動したのだという。
 アーミテージ氏はまた、この論文の中で、「私は二〇〇〇年に◆アーミテージ・リポート』という二十一世紀の日本の安全保障のあり方を記した報告書を発表しました。最近もそれに関する記事を書いており、そこで憲法第九条が邪魔になっている事実を挙げました。連合軍が共同作戦をとる段階で、ひっかからざるを得ないということです。それが偽らざる所懐です」、とも述べている。二〇〇四年七月には、中川秀直・自民党国会対策委員長に憲法九条が日本の対米軍事協力を妨げているという趣旨の発言をして物議をかもした。
 まるで、米国の世界戦略にもとづき日本の外交や防衛についてアドバイスする「顧問」や「指南役」気取りである。

 その『アーミテージ・レポート』(二〇〇〇年)や『第二次アーミテージ・レポート』(二〇〇七年)の執筆にも加わったマイケル・グリーン氏は、冷戦終結以来、日米(軍事)同盟の強化を提唱し続け、著書『日米同盟-米国の戦略』や論文「冷戦後の日米同盟-不確実な世界の現状維持国家関係」(船橋洋一編『同盟の比較研究-冷戦後秩序を求めて』)など、日米同盟に関する著作が多い。上級顧問兼日本担当部長を務める戦略国際問題研究所のサイトで最近(二〇一〇年夏)の動きを追ってみると、「日米関係-新しいリアリズム」(七月一五日)、「変化する日本の役割」(七月二九日)、「東南アジア諸国が中国の台頭を懸念して軍事強化」(八月九日)といった表題の発言が目につく。

 ◆カート・キャンベル氏は、クリントン政権でアジア・太平洋国防副次官補として一九九六年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告作成に関わったほか、国家安全保障会議事務局長を務めた。戦略国際問題研究所で国際安全保障プログラム部長などを務めた二〇〇七年、ミシェルーフローノイ(当時は戦略・国際研究センターの上級顧問。○九年二月に、オバマ政権の政策担当国防次官補に就任した)と共にシンクタンク「新アメリカ安全保障センター(CNAS)」を設置し、○九年に東アジア・太平洋担当国務次官補に起用された。
 キャンベル氏は二〇〇四年十二月に来沖した際、テロとの戦いやイラク戦争により「米軍を取り巻く状況は大きく変わった」として、「多くの海兵隊やほかの軍が他の地域に駐留したり訓練することの選択肢は可能だ」と述べ、普天間基地の県外移設を支持する意向を示した(『琉球新報』十二月十五日)。しかしその後二〇一〇年には、「(辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部に建設する)現行計画が最善との認識を改めて表明した」(『産経新聞』二月一八日)。

 
 ★米在日米軍基地の現状維持に固執する米軍高官たち 

 
 このほか日米(軍事)同盟に関して日本の主要メディアに登場する人物の中には軍の高官も含まれる。在日米軍司令官兼第五空軍司令官、太平洋空軍司令官、宇宙軍司令官兼北米航空宇宙防衛軍司令官などを歴任し、二〇〇一年から○五年まで統合参謀本部議長としてワシントンからアフガニスタン侵攻とイラク戦争を指揮したリチャードーマイヤーズ氏やキースースタルダー米太平洋軍海兵隊司令官などである。

 日本経済新聞社は、二〇〇九年十二月八日、米戦略国際問題研究所との共催で、東京都内の日経ホールで「オバマ政権のアジア政策と新時代の日米関係」というシンポジウムを開き、マイヤーズ氏、ジョン・J・ハムレ米戦略国際問題研究所(CSIS)所長(元米国防次官)やアーミテージ氏、グリーン氏らに駐留米軍が支える日米同盟の重要性を語らせている。この対日「ご指南役講演会」に日本側から参加したのは、日米同盟信奉者として知られる◆石破茂自民党政務調査会長(元防衛大臣)と◆長島昭久民主党衆議院議員(当時は防衛大臣政務官)の二人であった。
 『日経』のシンポジウム特集記事(十二月九日)によると、マイヤーズ氏は、「冷戦終結から二十年経過しているが、在日米軍基地の構成は適正か」というグリーン氏の質問に、「適切だ」と答えたあと、こう述べている。
「米海兵隊の沖縄普天間基地には輸送用のヘリ部隊と地上部隊がいるが、両者は共同 で訓練しなければならない。一部だけを別の場所、例えばグアム島に移すことは、物理的には可能だが、訓練という視点からは信頼に足るものにはならない」
 そしてさらにマイヤーズ氏は、「グアム島に海兵隊を移設した場合、米海軍との兼ね合いはどうするのか。グアムのどこに(第七艦隊などの)海軍部隊を置くのか」と、二〇〇六年に日米間で合意された在沖海兵隊八千人のグアム移転や、グアムで進行中の海軍基地の整備強化を否定する発言さえしている。
 それから二か月後の二〇一〇年二月十八日には、◆スタルダー米太平洋軍海兵隊司令官(二〇〇四年の沖縄国際大学ヘリコプター墜落の際の普天開基地の司令官)も、インタビューで「沖縄の普天間飛行場移設先を考える上では「(日米)同盟を支えるため、部隊を訓練し展開し続けられる作戦上の効率性確保など、四条件を満たす必要があるとの見解を示し」「グアムは沖縄の代替地にはならない」と断言して、「米領グアムヘの移設を明確に否定した」と、『読売新聞』が報じた。普天間基地のグアム移設は、当時、宜野湾市の伊波市長だけでなく、民主党や社民党の議員も支持していた。
 スタルダー司令官は、この『読売』との会見の直前、東京アメリカン・センターでの記者会見でも同じ趣旨の発言をしており、他紙でも報じられた。
 なお、それより先、○九年十月十七日、同司令官は在京米国大使館で、「沖縄の海兵隊の対象は北朝鮮だ。もはや南北の衝突よりも金正日体制の崩壊の可能性の方が高い。その時、北朝鮮の核兵器を速やかに除去するのが最重要任務だ」と発言、各地のメディアで広く報道された。
 しかし、高度な偵察能力をもっている米国は、北朝鮮の刻々の動きを事前に察知しており、必要とあれば、核兵器除去の専門部隊を米本土から派遣することも可能だ。米国はまた韓国に三万人を超える軍隊をおいている。北朝鮮の核兵器撤去は在沖海兵隊の任務ではない。

 
 ★「日米安保で飯を食べている人々」

 
 『朝日新聞』は、二〇一〇年二月二五日、「オピニオン欄」に「沖縄の海兵隊抑止と危機対応で重い役割」(asahicomに掲載された英文記事の表題は、“U.S. Marines for when the going gets tough”)と題するポール・ジアラ元国防総省日本部長の「投稿記事」を掲載した。
 また一〇年七月十六日付けの『朝日新聞』の同じ「オピニオン欄」に、「日米同盟は複雑な世界の磁石」と題するブルーノア国防次官の投稿記事が掲載された。
 ジアラ氏の主張は、「日本にとっての海兵隊の重要性はより増している。海兵隊は世界で最も能力の高い戦闘部隊だ。日本でのプレゼンスは北朝鮮を含む『敵』に攻撃を躊躇させる抑止力になっている」「沖縄の海兵隊は『日本の海兵隊』だ。太平洋海兵隊のスタルダー司令官は『日本に駐留する米軍人は、日本防衛のために死ぬ覚悟がある』と語る。これが抑止力の源泉だ」、というものだ。★「日本のために死ぬ覚悟」は、米海兵隊の訓示にはない。
 一方、ブルーノア氏の文章は、「国際社会に対する日米安保条約の貴重な貢献」を称賛する、いわば安保五〇周年祝賀記事だ。ジアラ氏もブルーノア氏も、「特別寄稿」となっているものの、『朝日新聞』が自社意見応援のために、寄稿を依頼したのであろう。

 三井物産戦略研究所会長の◆寺島実郎氏は、彼らを「日米安保で飯を食べている人たち」と呼ぶ(『世界』二〇一〇年二月号)。寺島氏はこう書いている。
 「これらの人たちは、(ワシントンで)日本からの来訪者を笑顔で迎え、しばしば日本でのシンポジウムにも参加して「日米同盟は永遠の基軸」というエールを交換していく。常に基地を受け入れる日本側の「責任」に言及し、より大きな「国際貢献」という名の対米協力を求める。もちろん、これらの人に呼応する日本側の「知米派・親米派」という一群の人たちがいて、この相互依存が、長い間の日米関係を規定してきた」

 民主主義国では、軍人がときの政権の意に反する発言をするのは、「文民統制」の原則から許されない。日本の主要メディアが、それを知った上で、これらの国防族や軍人に在日米軍人の「死ぬ覚悟」を強調し、二〇〇六年に両政府間で合意された在沖海兵隊のグアム移転に異論を唱えてまで日米同盟強化論を語らせているとすれば、ジャーナリズム精神に照らして異常であり、筆者の好きな言葉ではないが、それこそ「反日的」ではないか。
 先述のシンポジウムを開催した日本経済新聞社の◆秋田弘之編集委員は、「鳩山政権はなぜ、日米関係を冷やしてまで米軍普天間決着を先送りするのか。日米同盟への影響を分かっていないのか、それとも同盟を軽視しているのか。シンポジウムで米側出席者が投げかけた疑問を要約すれば、こうなるだろう」と解説している。
 しかし秋田氏は、米側出席者の日米同盟論を「ヨイショ」しているだけで、ジャーナリストとして独自の視点から日米安保や在日米軍のあり方は論じない。

 
 ★反米ナショナリズムは「不健全なナショナリズム」

 
 米戦略国際問題研究所に研究員として所属したこともある日本経済新聞社の◆春原剛・編集局国際部編集委員(当時)の著書『ジャパン・ハンド』(二〇〇六年)によれば、前記のグリーン氏は「どの国にもナショナリズムはあり、健全なナショナリズムなら問題ない」と述べ、米側にとって日本における「親米ナショナリズム」は「健全なナショナリズム」だが、「反米ナショナリズム」は「不健全なナショナリズム」と定義したという。
 この本の「あとがき」には、アーミテージ氏が「ナショナリズム(国粋主義)はナチュラリズム(自然に起こるもの)」と述べて、「太平洋の向こうから、『米国を愛するがゆえに、日米同盟を支持する』とエール」を送ってきた、と書かれている。そこにも、「反米ナショナリズム(ネオ・ナショナリズム)」はよくない、という意味が込められている。著者によれば、「確たる見通しもないまま、近視眼的なナショナリズムや反米感情に流され、日米同盟の維持・管理を怠ることがいかに危険であるかは言を俟たない」からである。

 一七七六年の建国以来、今日に至るまで対外戦争を繰り返し、いわばナショナリズムによって国をまとめ発展させてきた「超ナショナリズム国家」の元国務副長官が、対米従属の日米同盟に異議を唱える日本の「ナショナリズム」を批判するのは、皮肉としか言いようがない。それにしても、「米国を愛するがゆえに、日米同盟を支持する」という米国ナショナリストを日本の新聞記者がありがたがるのは、なぜだろうか。
 ちなみに、この本のオビには、◆手嶋龍一(元NHKワシントン支局長)の言葉が載っている。それによれば「この本で明らかにされた知日派、つまりジャパン・ハンドが、北朝鮮の核兵器に揺れる日米同盟の命運を握っている」という。日本は、「日米同盟の命運を握っている」米国のジャパン・ハンドの意に従え、ということだろうか。

続く。
 

 
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