カウンター 読書日記 ●『芸術とスキャンダルの間』(大島一洋 現代新書 2006・8・20) 
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●『芸術とスキャンダルの間』(大島一洋 現代新書 2006・8・20) 
 ●『芸術とスキャンダルの間』(大島一洋 現代新書 2006・8・20) 
 
 
 上記本の第3章で、【佐伯祐三真贋事件】が採り上げられている。

 事件の経緯が簡明に記されているので、サワリを以下に。


 *************

 ●第3章 謎の佐伯祐三現わる―なぜ突然、大量に出てきたのか

 ★佐伯祐三とは

 佐伯祐三はパリの下町風景を描いた天才画家として有名だが、昭和3年(1928)、肺結核のため、わずか30歳で客死した。美術学校時代を含めても、作画年数は十年間であり、実質的には5、6年と考えられる。彼の総制作数は5百点前後と見込まれているが、戦災で焼失したものもあり、正確にはわからない。贋作も多いといわれる。

 佐伯ブームが起こるのは昭和40年頃からで、10号大で2億円余と人気が高くなった。しかし、この事件が起きた平成6年頃には、佐伯作品は山本発次郎が蒐集した「山発コレクション」など、所有先はほぼ確定しており、新しく見つかっても、年に数点という程度だった。

 そこへ180点もの未公開作品が登場したのだから、美術界は大騒動になった。

 真作と判定したのが、当時美術界のドンといわれた河北倫明であり、贋作と判定したのが、画商の鑑定機関・東京美術倶楽部だったため、寄贈を受けた福井県武生市(現・越前市)を巻き込んで、マスコミの報道合戦が繰りひろげられていったのである。

★事件の発端

 平成6年(1994)12月19日、「朝日新聞」は以下のように報じた。

 【佐伯祐三の大量未公開作品? 数十点中5点に「本物」判定】

 内容は、岩手県遠野市に住む女性から、佐伯祐三(1898~1928)の未公開作品38点の寄贈を受ける予定の福井県武生市が、専門家を集めた選定委員会を作って調べたというもの。選定委員は、美術評論家の河北倫明(座長)、京都国立近代美術館長・富山秀男、横浜美術館長・陰里鉄郎、東京国立文化財研究所美術部第2研究室長・三輪英夫、慶応大学名誉教授・西川新次の5人で、38点のうち5点を調べ、「佐伯の真作」と判定した。記者会見した河北は〈粗削りな面も見えるが、作品の質は今までの佐伯の作品に匹敵する〉と述べ、他の4人の委員も〈本物に間違いない〉と語った。

 ところが、この報道があった1週間後の12月25日、「毎日新聞」が社会面で大きく次のように放った。

 【えっ贋作? 「佐伯祐三」 関係者寄贈の未発表作 「新しすぎる」】

 【専門家鑑定で波紋 福井・武生」

 「毎日新聞」は翌26日も社会面トップで追い打ちをかけた。

 【鑑定46点「すべて偽物」 佐伯祐三作品で確認 東京美術倶楽部】
 【真贋問題 全コレクションに波及か】

 東京美術倶楽部社長の三谷敬三と同倶楽部鑑定委員で日動画廊社長の長谷川徳七が、25日に記者会見をおこなったため、26日の各紙はみな一斉に報じている。以下、報道をわかりやすくまとめてみる。

 佐伯祐三の未公開作品を所有しているのは、岩手県遠野市の主婦・吉薗明子で、父親の周蔵の遺品のなかから見つかったものである。吉薗周蔵は東京で精神カウンセラーをしていたが、生前の佐伯を経済的に援助していた関係で、油絵、デッサン、書画など約2百点(以下、これを吉薗油彩と呼ぶ)と多量の手紙や日記など(以下これを吉薗資料と呼ぶ)を保管してきた。

  前年(平成5年)の2月に美術商を介して、油絵16点、水彩画30点が鑑定のため東京美術倶楽部(以下、東美と略す)にもちこまれた。東美では、10人による鑑定委員会を開いて調査した。2カ月間科学的にも慎重に検査した結果、すべてを数年以内に描かれた贋作と鑑定した。そのうちの1点「モランの風景」(仮称)が武生市の公開したものと一致した。

贋作とした理由は次の3つ。

①キャンヴァスが最近の画布にしか使われないテトロンを含んでいる。
 ・・・略・・・

★落合莞爾の登場

 平成7年9月19日午後一時、吉薗明子は大森稔のほか山本と名乗る中年女性に伴  われて、麻布ト番の落合事務所にやってきた。
   これは『天才画家「佐伯祐三」真贋事件の真実』(一九九七年刊、時事通信社)を書いた落合莞爾と吉薗明子が初めて出会うシーンで、第四章の書き出しである。大森稔は落合の友人である。吉薗明子は、落合が書いた『ドキュメント真贋』を読み、「真相究明のために協力を得たい」と落合を訪ねてきたのである。ここから落合の丹念な調査が始まり、驚くべき結果が現われてくることになる。

 落合莞爾とは何者か。著者紹介を見ると、昭和十六年和歌山市生まれ、東京大学法学部卒、住友金属、経済企画庁調査局、野村証券を経て、昭和五十三年落合莞爾事務所設立、株式会社新事業開発本部社長とある。著書は6冊あり、半分は経済もので、経済評論家のようだ。が、やがてわかるように調査のプロであり、筆もたつ。

 『天才画家「作伯祐三」真贋事件の真実』は推理小説を読むような面白さで、最後まで読者を引っ張る。彼は真作派の旗手であり、武生市の贋作疑惑をことごとく粉砕していくのである。くわしくは本を読んでいただくのがいちばんだが(ネット上で概略を知ることはできる)、ここでは要点だけを紹介しておこう。

 まず、吉薗明子が父・周蔵の残した佐伯作品を初めて見たときの告白メモの要約。

 私がその絵を初めて見たのは昭和39年のことです。私たち家族は、千葉市の真言宗・明星寺という寺に住んでいました。仏壇の横の小さな部屋に、大きな布に包まれて昔からありましたが、開けてみたことはありません。父周蔵が腎臓病になったため、東京へ戻ることになり、荷造りをするときに中身を知りました。1つは「佐伯祐三」と記された古い大きなトランクで、他には敷布のような布で絵を包んだのが3個と、佐伯祐三から来たらしい葉書や、日記など多くの文書類がありました。

吉薗周蔵の娘・明子あての遺言には、しかるべき時期がきたら世に出すよう条件がつけられていたという。それが平成4年の秋だった。いろんな画商や美術家が寄ってきたが、ある人が河北倫明を紹介してくれたのである。 ・・・略・・・

 落合は、最初やや贋作派寄りだったが、明子から吉薗資料を借りて見た瞬間に真作派に転じたという。それは佐伯米子未亡人の手紙が、本人でなくては知りえない秘密の暴露に満ちていたからである。落合は、ただちに佐伯祐三と米子の手紙の筆跡鑑定を、共同通信の記者を通して依頼した。結果は真筆と出た。・・・略・・・

その模様は福井テレビで放映された、
 しかし、翌日の新聞各紙はつれなかった。落合の反駁を取り入れたのは、「朝日新聞」と「読売新聞」のみで、他紙は武生市の報告だけを載せ、〈贋作の可能性高い〉〈真作でない〉と書いた。武生市との共同発表ではなく、時間と場所を変えた単独発表だったために、落合反駁会見の印象が薄くなってしまった面があった。

★告訴と裁判結果
 
テレビ東京系の番組「開運! なんでも鑑定団」でおなじみの中島誠之助は平成8年5月に出版した『骨董の真贋』(ニ見書房)のなかで、吉薗佐伯について次のように書いた。

 冷静に考えれば、そんな場所に佐伯祐三の絵が大量にあるわけがないのです。そんなことは、ごく初歩的な約束事であって、それがわからないようではどうしようもありません。墟の話は大きいほどひっかかりやすいものなのです。

 この記述にたいして吉薗明子は、名誉毀損で6百万円の損害賠償を請求する訴訟を起こした。

 この裁判結果は、平成14年(2002)7月30日に出た。東京地方裁判所は、吉薗佐伯絵画コレクションのすべてを贋作と判定したのである。

 「朝日新聞」の平成14年11月11日付夕刊は「美の魔宮」と題する連載の中篇で、以下のように書いている。

 裁判では、6点の鑑定が行われた。結果、「これまでの佐伯作品と、顔料やメディウム(媒材)が異なる」「当時、大量生産されていなかった白色顔料が含まれていた」などが明らかになった。

 このように裁判で贋作と判定されたのに、ネット上ではいまだに真贋論争がたえず、判決そのものを否定する見解もある。

 筆者(大島)に真贋を判定する力はない。ただ、もし絵は贋作だとしても、あの大量の「吉薗資料」はいったい誰が書いたのだろうか。資料は本物で絵は贋作なのか。謎の多い事件である。・・・略・・・
 
 
 ●紹介を続けている、「陸軍の裏側を見た吉薗周蔵の手記」と「疑史」のなかで、しばしば言及される、落合莞爾著・『天才画家「佐伯祐三」真贋事件の真実』の第二部として、★薩摩治郎八、★貴志彌次郎や★奉天古陶磁についての文章がある。

 「陸軍の裏側を見た吉薗周蔵の手記」、「疑史」の参考として重要だと思うので、
 以下、重複を厭わずに、章順に紹介しておきます。
 

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