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●続 <刑事>という人種
 ●『愛犬家殺人事件』で、共犯者・山崎の担当を志願して、事件の解決に大きな役割を果たした結城という刑事のイメージは彼のこんな発言で浮かべてもらえるだろう。・・・
 
 岩本検事との取引が進むうちに、検事の所の甘言に乗ってか甘い幻想(無罪釈放もあるのでは?)を漠然とながら抱きはじめる山崎に対して結城刑事はいつもと違う強い調子で言う。

 以下引用(適宜省略)ーp297~298

 ・・・「山崎、あの検事になにを吹き込まれたか知らねえが、お前の刑はあいつ(検事)じゃなくて裁判官が決めるんだよ。それともお前は本気で執行猶予がつくと思っていたのか。関根は死刑でお前は喋ったから不起訴、それで通ると思っていたなら、お前は本物の大馬鹿野郎だ」

 「でも俺が訊いたら、あいつはそう断言したんだよ。全部嘘じゃないか」

 このとき結城は初めて俺を睨みつけた。

 「おい、もういい加減にしとけよ。お前は自分のやったことが本当に分かっているのか。お前は殺しの片棒を担いだんだぞ。それも一件や二件じゃない。四件も死体遺棄をやって、執行猶予なんかつきっこねえんだよ。不起訴だと、笑わせるな。・・
 お前は何かって言うと自分の気持ちばかり言う。ふたこと目には、俺、俺そればっかりじゃねえか。お前の気持ちはよく分かった。じゃあ、関根にお袋を殺された滝口の気持ちはどうなるんだよ。あいつの気持ちはどうでもいいのか。・・・遠藤(関根に殺されたヤクザ)だって人の子だぞ。ヤクザだからって殺されていいのか。・・
 
 ・・殺されていい奴なんか、一人もいないんだよ。人殺しの手伝いをしたら刑務所に行くんだよ。当たり前だろう。そんなこともわからないような奴なら、もういい。俺、俺って死ぬまで言ってろ。」

 そこまで言うと結城は俺にそっぽを向いた。

 「分かったよ。行くよ。もう言わないでくれ。ちゃんとサインもしてくる」

 *****************

 一方、『戦後<翻訳>風雲録』の刑事は匿名で、しかもさりげなく記述されているだけだが、妙に印象に残った。


 舞台は北海道で、「裏金問題」を経験したいまでも、不思議なことだが、その印象は全く変わらない。

 著者・宮田昇の親友で翻訳の名人・詩人・奇人の田中融二が「進行癌」と診断され、治療を拒否、「遺書」を事前に管轄警察署(自殺予定地小樽の)宛に郵送して、その小樽の山中で自死したのである。自分の運転する四輪駆動車に排気ガスを引き込んで。

 酒と女を愛し、翻訳の印税が入るとそのほとんどを酒・女・旅行に費やし、金が無くなるまでつぎの仕事をしなかったような奇人、奇矯な人田中融二が。

 以下、引用(適宜略)

 ・・・5月12日の午後、小樽署の生活安全課を訪ねた私と息子の二人は、手紙が届いていないという係官の返事に、途方にくれた。すでに彼が泊まったホテルで、昨日の夕方近くチェックアウトしていることは確かめてきた。
 10日の彼(融二)からの電話は、次の日の夕方、自死する場所を示した警察宛の手紙を投函し、それを集配車がポストから取り出すのを確かめて、出発するというものであった。それが、なぜか届いていない。

 係官は、今小樽ではなく、北海道のどこかを元気で車を走らせているかもしれないではないか。北海道は林道だらけのところだ。調べようもないと。初めは鼻であしらうような返事。・・・

 ・・・それからいろいろな経緯があったが、自宅で待機していた彼の奥さんと昨日ドイツから帰国したお嬢さんとの電話のやりとりから、事態の緊急性を知ったのか、小樽署はにわかに慌ただしくなり、所轄の警察署からの捜索依頼状を待たずに、係官がパトカーに捜査命令をだした。
 私たちは、ホテルで警察からの連絡を待つようにと言われたので、待機することにした。
 だがその後の小樽署の機敏な行動や、捜査に当たったいかついデカ長の気配りなどは、警察への偏見を一掃してくれるものであった。

 お嬢さんが、昨日の最後の会話で彼から、なにかに通じる峠から林道に踏み込み、小樽市街の夜景が素晴らしいところを選ぶと訊いていたことが、捜索のヒントになった様子であった。長い長い二時間有余であったが、私たちが待っていたホテルに電話がはいって、彼が発見されたことが告げられた。・・・<引用終>

 ********************

 『戦後<翻訳>風雲録』、登場する人間的魅力(?)あふれる翻訳者・詩人・奇人・変人・ドケチ・アルコール依存症・・・

 中桐雅夫・鮎川信夫・福島正実・高橋豊・清水俊二・斉藤正直・宇野利春・亀山龍樹そして、早川清(早川書房)と田村隆一。

 興味津々のエピソード満載の一書で、奥山に登りつめた人でなければ書き留められないこともあるということを教えてくれた。

 墓場まで持っていくものなどないだろうに・・・という教えかもしれない。 

  <完> 

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