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●疑史第18回 炭疽菌研究秘話  
 ●疑史(第18回) 炭疽菌研究秘話   

 ロイターによれば、1月17日、英紙デーリーテレグラフのインタビューを受けた米国国務省テロ対策調整官クランプトンは、「平成13年にアフガニスタン国内で国際テロ組織アルカイダが炭疽菌兵器を開発し、テロ攻撃を計画していた証拠を特定した」と発表した。
 同年9月11日のテロ事件の直後、フロリダで呼吸器感染患者が発生し、死人も出た。さらに10月12日にはニューヨークでも感染者が出たが、患者女性は2週間前に白い粉の入った脅迫状を受け取っていた。両方とも感染経路は謎のままで、巷間ではテロリスト犯人説が唱えられたが、米軍関係者との見方もある。クランプトンの発表はその真相を明らかにしたものだろうか。

 北朝鮮が炭疽菌を保持していることは周知で、数年前に朝鮮半島で戦雲が棚引いた時、在韓米軍は数次にわたり兵士に炭疽菌ワクチンの予防接種をした、と伝えられた。イラクでも炭疽菌が大量に保存されている、と噂されている。

 ことほど左様に、炭疽菌炭疸菌は生物化学兵器中の重要アイテムだが、起源はどうやら日本陸軍のようだ。炭疽菌を敵国が使用する場合の防御の必要を感じた東大教授・呉秀三が、その研究を陸軍に提唱したのが嚆矢で、根底には華人留学生・王奇天の個人的知識があった。そのことを記録した陸軍特務吉薗周蔵が残したメモには、前月号で紹介した『死牛毒ガス』(昭和4年作成)の外に、『死牛肉ニヨル毒』と題するものがある。昭和4年頃から8年にかけて作成されたもので、奇天の言を次のように記している。

 「王サン云フ。牛ニハ 猛毒ガ潜伏シテヲリ、ソレハ 人間ニ1番、毒トシテノ作用ヲスル トノコト」。
他の家畜と違い牛には猛毒が潜在していて、人間に対して最も強い毒性がある。王希天のこの一言こそ、実に牛炭疽菌兵器の原点になったのである。希天の言は続く。
 「支那デハ 塩ヲトッテヰナヒ牛 生胎盤(人間ノ)食シタル牛ハ 決シテ 他ノ牛馬 及ビ家畜 又、野二放牧ナドヲシナヒ トノコト。」
毒性のある牛とは、
①食塩を採った経験のない牛、
②人間の生胎盤を食した牛である。
支那では、これらの牛は決して他の牛馬や家畜と混養せず、又野原に放牧しない、とのことである。

 「王サンノ言デハ 支那デハ 人間ト牛ハ 対立ニアル生キモノ トノコト。人間ノ胎盤 人間ノ出ス乳ヲ 牛ガ喰フト 牛ノ中二 恐ロシヒ菌ガデキ 牛ヲ殺スダケデナク 先ニ ソノ牛ノ近クニヲル者ガ 死ス トノコト。コノ菌ヲ炭疽菌ト云フ」。
希天は、支那古来の伝えとして、
①人間と牛は対立関係にある生物、
②人間の胎盤又は人乳を食べた牛は体内に猛毒が発生し、当の牛は死ぬが、それ以前に近辺にいる者も死ぬ、と語った。この菌が炭抗菌なのである。

 現在公開されている情報では「炭疽菌は、土壌・水中・空中・草木にわたって広く散在し、自然界ではその環境の様々な種類の他の微生物と共存している。土壌の草を動物が食みその動物に接触した人間が感染する」と説明されているが、人間の胎盤との関わりなぞは全く論じられていない。

 しかし、希天は、炭疽菌は「牛肉ノ 脂ノ無ヒ赤身二 人間ノ 生々シヒ胎盤ヲ 塗リテ 干シワラ(稲ノ蕎)デ包ミ・・・(以下は、模倣者が出ては困るから略す)」という方法で作れることを、なぜか知っていた。希天によれば、牛肉中の蛋白質がヒトの生胎盤に触れると浮腫因子と致死因子と防御抗原ができ、これらは単独では何の作用も起こさないが、浮腫因子と防御抗原が重なると牛に浮腫を起こし、致死因子と防御抗原が重なると致死作用を生じる。因って防御抗原に対する抗体を作れば、浮腫作用も致死作用も中和することができるという。

 別紙記載には、続いて「炭疽菌ハ モノヲ サラヘナヒト 毒菌トシテ 発現ヲシナヒ トノコト」とあるが、意味がはっきりしない。「条件を揃えないと」との意味だろうか。あるいは「生物体を通過しないと毒性が発現しない」という意味だろうか。いずれにせよ「コノヤフナモノ 作ル研究ヲヤッテ ヨヒカダフカ マコトニ 迷フ」周蔵だったが、
 「以前 呉先生云ハルニ 必要トノコト。責任ハ自分二」と決心を固めた。つまり周蔵は呉博士の一言を拠り所に、研究の責任者となったのである(同じ思いを昭和4年作成の『死牛毒ガス』にも記している)。

 その結果「炭疽菌ハ 實二行ヒヤスク 効カノ強ヒ 毒トシテ 生成サレ得ルコト ヲヨソ コレデ 証明デキクルラシヒ。ヨッテ モシ敵国ガ コレヲ使フナラ 防御デキルコトニナル トノコト」。炭疸菌が、実に使用し易く且つ強力な毒として生成できることが、今回を以て証明され、これで、もし敵国が炭疽菌を使用してきても防御手段ができた、とのことである。周蔵たちは、昭和4年以前に呉秀三から頼まれた実験を昭和7年頃に完了し、抗体の製造方法を確立したが、その年、呉博士は逝去された。

 「サスガ 辺(なべ)サン等モ コレハ ソフ無防備二 實験スルワケニハ ヰカナカック ヤフダ」。実験は渡辺政雄が主となって行なったが、ヒトの胎盤と牛肉の接触からスタートし、発生した炭疽菌をヒトの組織を何度も経由させながら純度を高める作業は、かなり危険を伴うものだったので、藤根の配慮により、“中野学校”に移管した。この“中野学校”は、後年出来た陸軍中野学校とは全く別の施設の通称らしく、名前からすると中野所在のようだが、私(落合)には戸山ケ原の陸軍軍医学校を指すように思えてならない。わざと言い換えたものと疑うのだが、あるいは中野に陸軍軍医学校の秘密外郭機関があったものか、とも思う。

 上高田救命院の毒物研究所は、結局関東軍防疫給水本部すなわち七三一部隊に引き継がれた。七三一部隊が研究関発した細菌兵器について、ペスト・コレラ・チフス菌が挙げられるが、重要なのは炭疽菌である。井上尚英九大名誉教授によれば、七三一部隊が昭和7年に開発した炭疽菌兵器は、炭疽菌を爆弾につめた単純な物で、敵兵士の皮膚から浸透させる狙いであった、とのことである。私(落合)が数年前に会ったK医博・農博は、七三一部隊に所属して生物化学兵器研究に携わったため、戦後かなりの期間米軍のお尋ね者とされ、各警察署に顔写真が手配されていた。遂に逃げおおせたが、もし捕まれば米国に送られ、七三一部隊の同僚と同様生物化学兵器の研究に協力させられた筈という。K博士によれば、七三一部隊で研究した各種生物毒は、素焼きの壷に毒物を入れて風船爆弾に積んで敵地にばら蒔く形で兵器化した。

 英国では、ナチスがロケットでボツリヌス菌攻撃を仕掛けてくると見たチャーチルが、対抗策としてスコットランドのグルイナード島で炭疽菌の実験施設を作り、ドイツヘの反撃体勢を作ったが、実際には使用しなかった。

 昭和21年、ソ連はスヴェルドロフスクに陸軍生物兵器開発施設を作ったが、日本軍から押収した設計図を基にしたもので、要するに七三一部隊の施設を参考にしたものだが、同施設で昭和54年3月、炭疽菌が流出して、96名が発病し、うち66名が死亡した。乾燥工程のミスにより、炭疽菌の芽胞が飛散したのである。嫌気性の炭疸菌は空気に触れると死んでしまうが、芽胞を作って閉じこもることで生き延びる。それが人間の皮膚や呼吸器・消化器に入ると、殼を破って増殖を始め、症状を引き起こす。つまり、皮膚型・腸型・気道型の3つの型があるのだが、気道型が1番恐ろしく、致死率は90%を超えるという。

 上高田では、希天の愛人の渡辺老嬢が、母の産婆が堕胎した胎児の死体を新宿から運んできた。それを用いて炭疽菌の純度を高めた結果、当初は4日も掛かった致死期間を4時間にまで短縮することができ、兵器効能が飛躍的に高まったが、手伝いの農婦、上高田のクメが芽胞を含んだ空気を誤って吸い込み、死亡する事故が起きた。

 炭疽菌は人から人へと感染することはなく患者の隔離の必要はないが、芽胞を吸い込んだら発病をする。芽胞は土中で数十年も生き続けるから、芽胞をばらまかれたら、防御のしようがない。抗体を持たない住民はバタバタと死に、その後も永い間住めず、家畜を飼養することもできない。抗生物質がある程度有効だが、これは戦中に発見されたもので、当時はまだなかった。

 石原莞爾の“最終戦争論”によれば、人類史上の最後の戦争たる世界最終戦争は、最終兵器によって戦われる。炭疽菌爆弾の完成を聞いた石原は、「遂に最終兵器が出来たか!」と叫んだという。しかし日本軍が開発した最終兵器は、結局ごく少数の風船爆弾を米本土に飛ばす実験だけに終わった。風船そのものは、女子挺身隊を動員して作っていたから、決して使用出来なかったのではない、敢えてしなかったのだ。

 呉秀三は、支那古来の生物毒知識を教わった相手を老学者・周居應と思い込み、本名を王希天という留学生とは知らなかったようだが、希天の知識は果たして家伝だったのか、それとも南開学校か日本で、誰かから教え込まれたものか?

 いずれにせよ、之を基に日本軍に炭疽菌の研究をするように導いたのはワンワールドで、兵器化した炭疽菌を米本土に使用させなかったのも彼らであろう。炭疽菌爆弾に対する石原莞爾の方針は知る由もないが、周蔵のメモには「甘粕が石原に近づき、その構想を探っては秘かに東条に伝え、前もって悉く妨害せしめた」と記すから、甘粕が東条に炭疽菌の使用を禁じさせたのではないかと思う。米軍にマンハッタン計画を進めさせ、降伏必死の日本に原爆を落とさせたのもワンワールドと思われるが、かと言って、彼らを非難するばかりでは始まらぬ。数次の大戦を企画した彼らの意図の深奥にある意味について、我々は思いを致すべきである。

 狂牛病に関する1巷説を紹介する。スイスの大手製薬業者はヒトの胎盤や胎児から製薬しているが、その残滓をウシの飼料に加工して英国に輸出した。英国の牛はこれを食べてクロイツフェルト・ヤコブ病を発病したという説で、ヒトとウシの対立関係について希天の言を思い出させる。

 結局、希天が足抜けを図った「仲間」とは、ワンワールドそのものだったのか、それともその一派だったのか。

 偽死後の希天の行動は謎めいている。

 ●疑史第18回 炭疽菌研究秘話  <了>
   

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炭疽のこと

炭疽とはWikipediaより -- 『炭疽症』より : 炭疽症(たんそしょう)、炭疽(たんそ)とは、炭疽菌による感染症。ヒツジやヤギなどの家畜や野生動物の感染症であるが、ヒトに感染する人獣共通感染症である。ヒトへは、感染動物との接触やその毛皮や肉から感染する。ヒトか... WEBの情報缶!【2008/07/19 01:18】



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