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●『聞書・庶民烈伝』 竹中労
 ●第六章 誰そ我に、ピストルにても撃てよかし

 ★血で購われた宝島

 ブルース・リー主演『精武門』(邦題・怒りの鉄拳)に、上海を牛耳る日本人の武芸者団が中国拳法の道場に乗りこみ、「東亜病夫」と大書した額を置いていくシーンがある。本邦上映のさい、<不穏当な>表現は処理されて、作品の正確な内容はつたわらなかった(TV放映も同様)。これは、反日映画である。そして、<病夫>には弱者の他にもう一つの意味がある。阿片吸引者を指している。

 大日本帝国植民地経営は、どのようなものであったか? くわしく述べれば、枚数が足りなくなる。そこで巷談、バッタバッタ張扇の読み切り1席〈台湾統治史・略〉・・・

 これもシネマ、『西太后』。いったい何が目的でこういうゲテモノ、失礼! <超大作?>をば製作したかてえと、外貨稼ぎにきまっておる。日清戦争処理に当って、西太后は和平論者であった。徹底抗戦をとなえたのは光緒帝、映画はそういう政治的な史実を便宜に省略している。とまれ、台湾でもくれてやれということで1件落着、とは参らなかった。

 明治28年5月25日、巡撫代理(総督に準ずる)、唐景鬆を推して「台湾民主国」、独立を宣言する。同月29日、北白川宮能久親王の指揮下、日本軍大挙上陸、6月4日基隆港を占拠して、台北に進撃する。唐は大陸へ逃れ、7日無血入城。伊藤博文、台湾事務局総裁に就任。
17日、治政式挙行(この日を現在は国恥記念日と称する)、抵抗終らず、「大平天国」の残党黒旗将軍・劉永福指揮下の独立軍、各地に死闘を展開。北白川宮戦没、5ヶ月近くにわたってドンパチ。
乃木希典の率いる第2師団、11月11日来援。初代総督・樺山資紀が全島平定を大本営に報告したのは、同月18日であった。この間、台湾独立軍の戦死者は約1万4千・・・

 台湾統治の歴史は<匪乱>の歴史であった。総督府法務部編集による『台湾匪乱小史』を見ると、「全島ノ匪徒ソノ影ヲ没シタルハ明治35年」とある。実際はその後も、大正・昭和と反乱はくりかえし、「霧社事件」(S5)、134名の内地官民惨殺でようやく幕を閉じる。本島人、(中国系)・原住民(いわゆる高砂族)と分けなければ、反乱の態様と意味は明らかにならないのだが省略。総督は5代まで武官、中将以上をもって任用した。

 初代樺山資紀(海軍大将)/M28・5・10~
 2代桂太郎(陸軍中将、のちに総理大臣)/M29・6・2~
 3代乃木希典(同じく)/M29・10・14~
 4代児玉源太郎(同じく)/M31・2・26~
 5代佐久間左馬(同じく)/M39・4・1~T5・5・1

 おなじみ乃木希典、3代までは内政の実なく、もっぱら討伐鎮圧・また弾圧。によって単ゲバ、乃木さんの献策は「台湾全島民を大陸に放逐して日本移民と入れ替へるべし」(!) 
伊藤博文、そんなことはでき兼ねるとご高説をしりぞける。困りものだ、首を切る理由はないものかと思案のさなかに「非職事件」。

 高野孟矩・台湾高等法院長は硬骨正義の人、これも本篇第3章ご存じ<ケンセイ阿呆の鳴門>、当時の法務大臣・芳川顕正から娘との結婚を持ちかけられ一言の下に拒絶。「小生、閨閥を好まず。妻ならば自分で探しますゆえ、不悪(あしからず)」。何かにつけ角の立つお人柄、容赦なく官吏の汚職を摘発して、情状酌量ナシ。ゆうずうのきかぬ馬鹿であると、総督にザン言、中央に手をまわして追放運動。乃木さんてえものが素直なお方で、「左様か非職を命ずる」

 ・・・つまり、出仕に及ばず。ところが「非職に応ゼズ」、ガゼン開き直っちゃった。堂々と裁判所に出てくる、法廷で判決を下しちまう。乃木さん怒ったね、警吏に命じて法院長を手とり足とり担ぎ出すという前代未聞、喧嘩両成敗・総督更迭チョーン!

 4代・児玉源太郎、この人の統治下に台湾は面目一新、<近代化>を遂げたと言われるが、内実そんなものじゃない。児玉は日露戦争をはさんで、中央要職を兼務、総督の不在の間をとり仕切ったのは民政長官の後藤新平。道路を拓き・橋梁を架け・定期航路を設け・鉄道を敷き、なるほど経営の手腕をふるった。殖産局長に登用された新渡戸稲造、農林業を大いに振興する。樟脳の生産は世界1となり、砂糖は統治初年3万トンから160万トンに飛躍、台湾はまさに宝島の巨富を大日本帝国にもたらした。

 明治39年の経常歳入、25、656、672円(げんざいの貨幣惑覚でおよそ130兆円也)。うち樟脳をはじめ煙草・食塩等の専売収入、8、621、307円、全体の実に33.6パーセント。砂糖消費税は、2、399、987円で9・4パーセント。こうした数字をかいなでて見れば、「日帝」植民統治下、台湾はまさに楽土と富み栄えた。

 だが、誰のための楽土か? 砂糖全台湾生産高の98パーセントは、親方日の丸。「大日本製糖」によって独占され、現地人酷役の<膏血制度>、財閥&官僚利権の温床となる。農業発展の反面、地租収入2、893、551円(11.6パーセント)、隠田摘発によって農民は従来の3倍の重税にあえぐ。そして「東亜病夫」、漸禁政策を称しながら、阿片製造&専売による官営収益4、433、862円、歳入の第2位17.38パーセント。清国の統治下、阿片輸入税約80万円の5倍増。莫大な利潤と同時に<毒物投与>、台湾人士を骨抜きにする一石二鳥。阿片専売制度の廃止は、下って昭和20年6月17日。「大東亜戦争」敗北直前、台湾支配50周年のその日である。

児玉源太郎・後藤新平、<近代化>の実態はこのようなものであった。
 さらに加えて「匪徒刑罰令」、反乱未遂といえども死刑、会合の場所を提供したる者無期、住民連座制を施行して家族・郷党ことごとく投獄。かくて明治31~35年、1万1千95名の<叛徒>殺りく処刑された。5代総督・佐久間左馬太、その血史にさらなる地獄絵を重ね、明治39年の着任から42年の間に<生蛮征伐>18回(小掃討をふくまず)。

 佐久間は明治7年、台湾征伐のさいに陸軍中尉、「抜刀隊」を率いて生蛮百人斬りと錦絵に謳われた凶猛の士である。人間生涯のテーマ、青春の体験によって決定する。この鬼将軍にとって、台湾の統治は狩猟に他ならず、ひたすら原住民殺しに熱中した。とりわけ大正3年、太魯閤タイヤル族鎮圧、みずから1万1千余の将兵軍夫の先頭に立って、59門の砲を撃ちこみ205剃の機関銃を乱射、女子供を含む原住民3千人余を屠っている。日本人の大半、おそらくこの事実を知らない。現在の「中華民国」、台湾の人々もあえて過去を問わず、むしろ山地原住民=高砂族は、ニッポン統治時代に郷愁をすら抱いている。伝説の50年、彼らは言う。「悪いのもいたさ、だけどやさしい人も多勢いた。日本人は賢くて気前がよかった、兄貴みたいなものだった」

 この大河連載を、庶民衆生を軸に展開していると私が言う真意に、ご理会いただきたい。再び隔意の対岸に、日本と旧植民地の民衆を、分けてはならない。「日帝36年間」の夢魔は、在日韓国人指紋押捺拒否の叫びに黄泉がえる。それは、汎アジア&第三世界に、不気味な共鳴を拡げていくだろう。とりわけ若い世代の民族意識に、語りつがれる血の怨みは、彼らが体験しなかった残酷を、限りなく増幅していく。

 ★日本人、何をなすべきか? 

 ひしひしと迫り来る危機、タイ全学連の日貨排斥運動は、「少数急進分子のハネあがり」と称する日本外務省筋の観測を裏切り、世論となり政府を動かして、経済侵掠をむかえ撃とうとしている。急速に力を伸ばして国軍と桔抗するフィリッピンのNPA(ニュー・ピープルズ・アーミー)、民衆に檄して言う。マルコス反動売国政権を援助し、やくざ尖兵に同胞を堕落させ、生血を吸うイエロー・マフィア、アメリカ極東支配の共犯者、<醜い日本人>を祖国から追放せよ!
 マレーシアは親日の政策を改め、1973・反日暴動はインドネシアにもまた胎動する。

 四面楚歌の声、日清・日露戦争の時代よりも、「大東亜戦争」にもまして現在の状況はきびしい。亀裂を縫合する手だて、庶民衆生の連帯のほかになく、日本人はそれを覚らない。芋の煮えたもご存じない<買春観光ツアー>、「東亜病夫(弱者)」への凌辱。忘れねばこそ思い出さず候、植民地統治の血史を絡印のように胸に置いて、アジアの兄弟よ、恨みを棄てよと言うのである。ことばは苦くむなしい、このような異見は孤立する。

 だが、あえて問いかけよう。君たちも国家に (幻視の共和国をもふくめて)、一閻浮提=全人類を分割統治する、偏狭なる民族国家主義に、からめとられてはいないか、と。大東亜共栄圈のゆめを、逆しまに私は夢みる。庶民衆生の奈落から、<差別・搾取>が終わるときを、なべての国家が廃絶され・国境がなくなる世界を・・・

 ★『あこがれ』、5銭ナリ

 誰そ我に
 ピストルにても撃てよかし
 伊藤のごとく死にて見せなむ  (石川啄木)

▽明治42年(1909)*牧口常三郎・38歳
2   弁護士・平出修、『スバル』に資金を提供する。木下杢太郎、
同誌に『南竜寺門前』を発表。
15   北原白秋、処女詩集『邪宗門』刊行さる。
 3・30 東京府知事、浮草に流れぬよう近時の世相に警告を発する、
他府県もこれにならう。
 4・11 日糖疑獄、代議士24人連累検挙される。

〔註〕
 明治29年、駄菓子屋の鈴木藤三郎が製糖の業をおこす(日本製糖)。当時、日本には奄美と沖縄の他に砂糖生産の適地はなく、輸入に頼っていた。市井の発明家である鈴木は、日清戦争によって新領土となった台湾に着目して、植民地会社の設立を企てる。33年、新渡戸稲造の協力によって台湾製糖が発足した。株主は三井物産・宮内庁、井上馨が財政顧問に任じていた毛利家等々。わずかに4年後、日露戦争の37年には国内需要を充たすのみではなく、海外輸出の大成功。

 だが戦後不況、39年の夏に鈴木は社長の椅子を追われる。日本製糖・台湾製糖は合同、農商務省・農商務局長の酒匂(さかい)常明を迎え、渋沢栄一を相談役にすえて大日本製糖が誕生する。さらに、北九州の大里精糖を合併。現地中小零細業者を吸収、市場を独占する。配当6割4分という大盤ぶるまい、実は毎期粉飾決算、司直の知るところとなり重役全員が検挙され、賄賂を取っていた代議士も芋づる。

 同年7月、酒匂常明はピストル自殺をとげた。新社長に、三井財閥から送りこまれた藤山雷太が就任、経営全権を奪取する。かくて、財閥王国は着々と植民地に版図を拡げていくのだが、くわしくは第7・8章で。

 5 警視庁、「パンの会」を無政府主義者の集会と誤認(クロポトキン・『パンの略取』からの連想)、両国の西洋料理屋を包囲する。『江戸っ子新聞』いわく、「天下のお笑い草なり」 
 5・31 両国・国技館落成。
 6・10 幸徳秋水&菅野スガら、『自由思想』創刊・直ちに発禁。
 6・27 夏目漱石、『それから』を朝日新聞に連載。ひきつづき『門』『彼岸過ぎまで』『行人』 ※『明暗』は大正5年。
 7   森鴎外『ヰタ・セクスアリス』(スバル)発禁。


《活動写真・愚連隊・貧乏文士》 ―巷談・明治風俗史⑫

 この年、活動写真常設館は東京市内に70余を算える。〔興行資本数10万円を運転し、第1の流行地はむろん浅草公園第六区である。本所9ヶ所・深川6ヵ所これについで盛況。この春以来、芝居や寄席等に非常な影響を与へ、活動写真は満員でも、他は5分・4分の入り。甚だしきは百人足らずの不景気、一時は頭を擡げた浪花節も、ついに東京を逃げ出すありさま〕(萬朝報、7・31)

 こちらミナト横浜、〔不良少年・堕落学生等々、不生産的人物の結合せる団体組織、通称愚連隊は本拠を戸部・本牧・中村町方面に置き、婦女子を虐り(いたぶり)喧嘩を吹っかけ、刃物を以て威嚇し尻を捲って強請(ゆすり)を為すなど、あらゆる暴悪を敢てして世人を苦しめ居りしが、各署厳重に取締に当り、用捨なく拘引検束し懲戒を加へ、昨今ようやく平和〕〔ようやく安堵の色見えたる折、今度は堕落娘・お侠娘・淫売上り、女愚連隊があらはれて、盛んに蛮勢を張らんとする兆あり、その筋にて目下厳戒中と聞く〕(萬朝報、9・6)

 流行語「ハイカラ」、たとえばこんなふうに・・・
 ♪金縁眼鏡のハイカラは
  都の西の目白台 女子大学の女学生
  片手、ハイロン ゲーテの詩
  口に唱える自然主義   (神長瞭月『ハイカラ・ソング』)
 
 7月1日より読売新聞連載、『現代に名をなし或いは将になさんとする、文士222名』。
 50代 坪内逍遥・森鷗外ほか、40代 幸田露伴・夏目漱石・徳富蘆花ほか、30代 田山花袋・泉鏡花・島崎藤村・高浜虚子ほか、20代 与謝野晶子・木下杢太郎・北原白秋・三木露風・石川啄木ほか

 〔・・・貸本屋来たけれど、6銭の金がなかった〕(啄木日記、4・13)〔北原白秋から贈られた『邪宗門』も売ってしまった〕(5・8)
 〔とうとう、『あこがれ』(自分の処女詩集)と他の2、3冊を持って郁文堂に行った。15銭に売れた。 「これは幾らなんだ?」。予は、『あこがれ』を指した。本屋の主人が言った。「5銭、―ですね」、ハ、ハ、ハ〕(5・16)
 7・6 閣議、韓国併合断行を決定。
     憲兵、警察官を増派。
 7・24 総監府告示、司法及び監獄事務委譲に関する覚書調印。
 8・13 閣議、清国間島地方の韓国人を保護下に置くことを決定。
 9・4 南満州に権益拡大(くわしくは後章で)。
 10・18 韓国における犯罪即決令・公布。
 10・26 伊藤博文、暗殺さる! 
 

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