カウンター 読書日記 ●『俗戦国策』に見る後藤新平。
読書日記
日々の読書記録と雑感
プロフィール

ひろもと

Author:ひろもと

私の率直な読書感想とデータです。
批判大歓迎です!
☞★競馬予想
GⅠを主に予想していますが、
ただ今開店休業中です。
  



最近の記事



最近のコメント



最近のトラックバック



月別アーカイブ



カテゴリー



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



ブログ内検索



RSSフィード



リンク

このブログをリンクに追加する



スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


●『俗戦国策』に見る後藤新平。

 「・・・後藤の30台(ママ)から、一日の違変もなく交際して来た二人である故に、能く其表面も、其裏面も知って居る。世の人が何と云うても、此後藤は決して《寝ざめの悪るい》事をする人でないと云う事は、俺主が何所までも保証するのである。」とまで断言する杉山茂丸の講釈に耳を傾けてみよう。 『俗戦国策』より。
 

 ****************

●電車市有問題

●村上太三郎、小他国三君、深夜の訪れ

サア能く年次を記憶せぬが、何でも第二次桂内閣の時であったには相違ないのである。・・・此東京の市街を縦横して居る電車を府有にする議論が、官民の間一斉に起って来た。・・・夫が出来そうになってはダラリと崩れ、又出来そうになってはダラリと崩れるのである。

(*1903年(明治36年)8月22日:馬車鉄道の東京馬車鉄道が動力を馬から電気に改めることで誕生した東京電車鉄道(東電)が、品川~新橋間を開業。

1906年(明治39年)9月11日:東電・街鉄・外濠線の3社が合併し、東京鉄道(東鉄)成立。

1911年(明治44年)8月1日:東京市が東京鉄道を買収。東京市電気局を開設し、東京市電となり、路面電車(市電)事業と電気供給事業を開始。
 
当時、後藤は第二次桂内閣で逓信相、鉄道院・総裁を兼任。)

 ソコデ、何様日本で指折の大会社の事であるから、其株式と云うたら大変な資本高である、ソコデ、各銀行と株式仲買と資本家との間に、株式を買占めたり売放したりして、其利害争奪の有様と云うたら物凄い程である。ソコに政党の巨頭連などが数人加入して、全任交渉委員となって騒ぎ出して来たから、今度こそは間違いなく市有が成立するに相違ないと認められて来たので、各株式連中などは其身代の全力を挙げて、大変な高の株式を抱え込んで、息を詰めて其成立を待って居るのである。其所に或時、恐るべき一道の魔風が吹いて来た。夫は政府の買上値段が、此交渉の全権を担任する大政治家の巨頭連の思惑との間に大差ある事が機密に測定せられて、到底成立の見込がなくなったらしくなって来たから、サア其株式を沢山抱込んで居る連中の恐慌と云うたら大変である。

 此時庵主の僑居、築地の台華社に、深夜の1時半頃叩き起して無理に面会を求めたのが、日頃懇意にして居る株式仲買の村上太三郎、小池国三である。
 (因に曰く、庵主が従来相場をするすると各新聞紙などに書き立られて、手強く攻撃をされたり傷害をされたりしたのは、此2人と懇意に交際をして居たからである。当時庵主は、コンナまどろしい、狼狽性のある、過敏性のある株式仲買などを相手にせずとも、相場を仕ようと思うたら、百発百中に勝って儲けるに極って居る事を知って居るのである。夫は「金利の上下」から「公債の償還期及其多寡」から「外債の成立、不成立」から、日本に有とあらゆる経済上の大勢は、★大体庵主の前知せぬ事はない位の時であるから、何でもないのである。併し庵主の資性は、「相場」と「碁、将棋」と「猟漁」と「各ゲーム事」とが大の嫌である。然るに此両人は、人の知らぬ義侠心のある男であって、日清日露の両戦争の起因の頃から、人の知らぬ金を無担保で出させて、★此等計画の資となしたのは此両人であった。事後には奇麗に返済はしたが、恩義はあったのであるから、小気味能く庵主と交際をして、大難事があれば人知れず庵主の所に訴えて来て居たのである)夫(それ)で此市街電車が出来ソコナイそうになって来ては、彼等の一大事である。即ち立派な破産仕事である。曰く、
「先生、電車市有が出来そこないそうじゃで、睾丸が上がったり下がったりして寝て居られませぬ故に、小池君と相談をして遣って来ました。若し万一出来ないとなると、両人は申すに及ばず、大恐慌であり升。銀行三ツや四ツは確かに潰れ升。・・・ドウか絶対に出来そこなわぬ様に工夫はあり升まいか」

●恐慌は防がねばならぬ

 此を聞いてから、庵主の戦国策が直ぐにムクムクと始まった。曰く、
「此際恐慌は絶対に防がねばならぬ。・・併し、市有を成立させる位は何でもないよ」
「屹度成立しますか」
「屹度成立するよ」
「ドウしてですか」
「夫はネ、今の交渉が不成立になった時に、成立するのである」
「変ですネー、屹度成立し升か」
「クドイ、屹度成立する」
「夫では、成立するように一切を先生に一任して、当にして居て宜うム(ござ)い升か」
「夫は、今の市有運動が不成立になった時、電車会社の株式半数以上の権利所有者が2ケ月間庵主に其成敗を一任し一切其指揮に従う事を誓い、若し俺主の命令に背いた時は一千万円以上の損害要償を甘受すると云う合法的の公正証書に、其権判者全部が2ケ月間庵主の許可を得ずして決して株も売らぬと云う事に調印して総て夫が訴訟上の合理になった契約さえすれば、屹度成立させて遣る」
「夫は何でもムりませぬ。今夜にも大株主会は開かれ升。・・・夫から、夫等の全権は既に出来て全部委任状も取集めて有升から、何時でも出来升。・・・夫から費用が何程掛り升か。・・・又お礼は何程
入升か」
「費用は一文も掛らぬ。お礼も一文も入らぬ」
「へー、先生、冗談じゃありませぬぜ、・・・本当に出来升か」
「クドイ男じゃナア・・・俺の云うた事に今日まで冗談があったか・・・何か間違った事があったか・・・。俺は恐慌を防ぐ丈けでも、是非成立させねばならぬ。・・況んや此電車市有問題は、社会政策としても是非成立させねばならぬ。・・・心配するな、俺の云う通りにさえ仕てくれば、屹度出来る」
「夫では此からソー致升」
「夫は今直では無いと云うているでないか、今の交渉が不成立になった時でなければイカヌ、今ドエライ大頭株の政治家連がウンウン云うて遣って来る。夫等が全権の委任を持って居る、夫が不成立になって、任意解散で其委任が解けねば、俺に委任する事は出来ぬ訳であるから、今の交渉が不成立にならねば、成立はせぬのである」
「成程、夫では此儘45日様子を見ましょう」
「ムウ、夫がよいよい」
と云うて別れた。 
 

 ●コンミッション三百万円 へ続く。
 
 
スポンサーサイト


この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
トラックバックURL
→http://2006530.blog69.fc2.com/tb.php/468-45bdcfa7



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。