カウンター 読書日記 ●大杉暗殺  「『夜明け前の朝日』(鹿砦社)より。
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●大杉暗殺  「『夜明け前の朝日』(鹿砦社)より。
 前記、「★「『夜明け前の朝日』(鹿砦社)の中に書いてあるが、・・・」の該当部分を下に引用しておきます。
 
 ★鹿砦社 2001年5月1日刊 だが、この記事=対談の初出は『創』誌1998年10月号
   であると、『夜明け前の朝日』巻末にある。

 **************

 第三章 朝日・講談社巻き込む「大激論」の欠落した部分
 [歴史の証言】 (その2)
 ●歴史の秘密と隠れた情報の点を線に結ぶ より。  


対談者の紹介は次の通りです。

 お互いが相手の記事や著書の読者として、30年も昔から名前を知り合っていながら、1度も会って話し合うことがなかったのに、雑誌・『創』(つくる)に掲載された私の記事が縁になり、鋭い分析で知られた評論家と対話の機会を得た、話の内容が多岐にわたって展開したので、多分にまとめるのが難しいお喋りになって、扱った事象や人物の説明を抜きにしては、言っている意味が分かり難い部分もあるが、ジャーナリズムの問題を考えるために、重要な示唆を含むので相手を*Lとして復元した。*Fは藤原肇氏。
 
 
  ****************
<以下、引用>
 ・・・ 
L: えっ、それは驚きです。そんなことは夢にも考えなかったし、あの松本清張でもそこまで推理したとは言えないが、地獄耳の私でも聞いたことがありません。竹下が幾ら自民党の日韓議員連盟の代表で、韓国と太いパイプを持っていたとはいえ、そんなタメにするような情報は信じられません。松本清張でもそれは言わなかったし、知っていたら絶対に書いていたはずだが、私は彼から片鱗もその話を聞いていません。

●情報の真偽を見破る眼識

F: さあ、どうでしょうか。絶対に正体を現わさない秘密もあります。
それに、清張の長編小説で読んだものは少なくて、『霧の会議』と遺作の『神々の乱心』くらいであり、多くの人から『深層海流』を読めと言われたが、どこの文庫本にもないので未だ読んでいません。『霧の会議』はバチカン銀行とフリーメーソンを扱ったが、その前にガーウィンの『誰が頭取を殺したか』を読んでいたので、清張がヨーロッパを舞台にしたものは迫力が乏しく、事件の掘り下げ方が通俗的だと思いました。
 ただ、高校生から大学生にかけての頃だったが、『日本の黒い霧』や『昭和史発掘』を読んだ印象では、彼は鋭い史限を持つ人だと思いました。

L: 彼の作品では短編に比較的いいものが多く、長編小説ではどうしても限界があるが、社会派の作家として国内問題に関しては、資料集めに力を注ぎいい仕事をしています。
 話題が変わりますが、石油ビジネスを専門にしている藤原さんの目で、石油業界を具合に安宅産業が潰れた事件を描いた、あの『空の城』をどう思われましたか。
F: 実は、未だ読んでないのです。

L: 日本で映画化されて大評判になりましたが、石油ビジネスをやったあなたが読んでいないのは、私には非常に不思議でならないのですが・・・。

F: 安宅事件に関しては経済記事を読みましたが、石油ビジネスの本質に迫ったものはなく、ジャーナリストの調査は実に告白的です。国際石油政治の掘り下げは簡単でないから、幾ら社会派の清張でもあまり期待できないので、それを小説で読むのはナンセンスでしょう。
 日本でオイルマンと称していろいろと書き散らす、落合信彦にしてもハッタリ屋の小説家で、石油開発をやって生きて来た私の目には、石油ビジネスのイロハも知らない人です。

L: ハッタリを書き散らすと言われたが、具体的にはどういうことを指しますか。

F: キリスト教について少し知っている人なら、カトリックは神父でプロテスタントは牧師と呼び、その世界での専門的な言葉遣いがあり、牧師が告解を受けるとは絶対に言いません。石油会社で石油の発見を担当する部門は、エクスプロレーションと言って探査とか開発と訳しますが、落合は商社のレベルの発想で調査部と書いたり、セメンティングをリグ(掘削装置)を固定するためだなんて、飛んでもないデタラメを書いています。

L: プロが使う用語をカタカナ英語で書けば、誤魔化せると思っているわけですか。

F: そんなレベルです。幾ら日本語が上手なアメリカ人でも、神社の神主とお寺の和尚さんを取り違えて、出雲大社の和尚さんと書けばお笑いで、日本人なら誰でも知識の浅さが分かるし、宗教のイロハも知らないと思うのと同じです。

L: そうですか。それでは落合はともかく松本清張ですが、彼は『神々の乱心』を非常に興味深く読んだので、あれについてのコメントはいかがですか。

F: 私も先生と同じでとても興味深く読みました。
冒頭にある天津アヘン密輸事件の密輸犯が、三島由紀夫の祖父の平岡錠太郎であり、吉薗周蔵という実在の人物を二人に分け、吉屋謙介と荻園泰之という主人公にして、筋を展開する清張の手腕はなかなかのものです。しかし、落合莞爾の『陸軍特務・古薗周蔵の手記』を読んでいるので、清張が小説の中では触れるに至らない、アヘン売人の中に若き日の牧口常三郎(創価学会初代会長)がいたり、大杉栄が後藤新平のスパイだった話との関連で、ちょっと物足りないという感じがします。

L: えっ、大杉栄が後藤新平のスパイだったのですか。そんな話は今までも聞いたことがないが、アナキストの大杉は後藤内相にとって、最も警戒すべき要注意人物だったはずです。それなのに、大杉が手下だったというのは奇想天外で、私にはとても信じることができないが、そんな奇妙なことがあり得るでしょうか。

F: だから、秘められた歴史の真相は興味深いのです。でも、この件に関しては『朝日と読売の火ダルマ事件』の中に、ちょっとほのめかして書いておいたのですが、先生はそれにお気づきにならなかったのですか。

●秘められた歴史のジグソーパズル

L: 後藤新兵のことは正力松太郎の話の中に、だいぶ出て来たのは記憶しておりますが、大杉が後藤のスパイだということに関しては、恥ずかしいが記憶に残っておりません。

F: 実は、大杉と同棲していた伊藤野枝がスパイで、彼女の祖父は玄洋杜の頭山満と親しく、後藤の親分だった児玉源太郎に私淑した、杉山茂丸と繋がりがあったのです。

L: そう言えば夢野久作の親父の杉山茂丸は、明治から昭和にかけて政界の巨大黒幕だが、彼は『児玉大将伝』という非常に痛快な、児玉源太郎の伝記を書いていましたな。

F: 児玉台湾総督の下で民政長官だったのが、後に内相に就任した後藤新平だったし、彼が名古屋時代に作った娘の静子の息子が、メキシコに渡った左翼演劇家の佐野碩です。静子が結婚した医者の佐野尨太の兄が佐野学で、野坂参三とは遠戚関係で繋がっており、野坂の身内は神戸のモロゾフ製菓の筋です。その周辺には警保局長や特高課長がいて、すべてが後藤に繋がっていることから、後藤が共産党を作ったと考えられるのです。

L: そんなバカな・・・。。どうして内務大臣が共産党など作りますか。

F: 共産党を作ってそこにシンパを集めれば、弾圧する時に手間があまりかからないし、世界的なスケールで展望して見るならば、情報収集をする上で非常に便利です。後藤新平は日本人離れした大型の政治家だったから、ソ連の外交官ヨッフェと親交を結び、英国流の帝国主義を手本に使いながら、日本の政治を改革しようと試みています。

L: 確かに満鉄の初代総裁として采配を揮い、関東大震災後の東京市長としても活躍して、日本の政治家の水準を越えていた人です。
 それにしても、あなたと喋って歴史の話をしていると、松本清張が文春に連載したイラン革命の話で、冒頭に出て来るイラン系ユダヤ人商人が、米国から祖国を遠望するのを思い出して、実に奇妙な感じがしてなりませんな。

F: 私は『文芸春秋』を定期購読していないし、松本清張の小説はあまり読んでないので、おっしゃっていることの意味がよく分かりませんが、清張はイラン革命を小説にしたのですか。

L: パーレビ皇帝が失脚した時のドキュメントです。

F: 残念ながら知りませんでした。それじゃあ、話を後藤新平が持つ実力に戻しますが、日本では本当に優れていたらダメであり、三流のものしかトップになれないのです。
 それは歴史書の場合においても同じであり、幕末のことを知る上で最良の本としては、マリアス・ジャンセンの『坂本竜馬と明治維新』で、その次に大仏次郎の『天皇の世紀』が来て、奈良本辰也の幕末物が続くと私は思います。小説は十番以下に来ることになり、子母沢寛から海音寺潮五郎に続いた後で、司馬遼太郎が来ると私は考えていて、日本人がなぜ司馬を持ち上げるのか不思議に思うが、彼が日本ではトップ扱いされていますね。

L: 今の日本では司馬遼太郎を国民文学と言って、財界人から政治家に至るまで愛読しており、藤原さんのような考え方は少数派です。
 この間も『文芸春秋』が人気投票をやって、誰が日本の作家で好まれるかを発表したが、一番は夏目漱石で二番が司馬遼太郎だった。不思議だったのは吉川英治がいるのに、20傑に松本清張が入っていなかった点です。私は司馬より松本の方が国民的だと思うが、小説は各人の好みが関係しているために、自分の趣味は押しつけられないのです。

●松本清張に見る幅広い取材ネットワーク

F: 司馬の小説の主人公は必ず売れるタイプで、いかにもヒーローになりそうな人が多く、判官贔屓の日本人によく受けるのは、新しい愛国主義が底流にあるためです。彼には小栗忠順は描けないだろと思うし、現代史の謎に挑む気はなかっただろうが、『街道を行く』は歴史が主人公だから好きです。ただ、『街道を行く』と『昭和史発掘』の比較になると、私は清張の歴史への冷めた視点の方が、司馬のロマン主義よりも強く惹かれます。
L: 松本の筆法はジャーナリスティックだし、推理小説のやり方で話を展開しているので、謎解きとしての興味が加わるからです。また、彼は非常に熱心に資料を集めていたし、取材力を誇る記者や情報マンたちを動かして、いろんな組織や会社から情報を集めた上で、老練な刑事がやるような緻密な調査を行い、事件の骨格や当事者の心理を分析してます。文春の嘱託だった大竹宗美も彼の情報マンであり、内調のレポ役の形で動き回っていたが、大竹は児玉誉士夫のアンテナ的な存在で、三矢事件は児玉が持っていた資料の山を使い、社会党の岡田春雄の所にそれを待ち込んで、国会で爆弾質問を仕掛けたということです。

F: 内調を通じて大竹と田中の関係が分かるし、文巻が事件として騒ぎ立てるとしたら、メディアとしてマッチポンプをしたのですね。

L: 松本清張の情報源として重要だったのは、文春と朝日が手配した優秀な調査マンで、当時のカネで月に百五十万円も遣っていたから、今の貨幣価値だと十倍以上に当たるので、文春が音を上げたのももっともでした。それに、松本自身が朝日の広告部門だったから、新聞社の内容について熟知していたので、『赤旗』の報道部長になった下里正樹までが、情報整理のために秘書として手伝っており、彼のネットワークは実に凄いものでした。

F: 彼の人脈からすれば当然でしょう。また、私は森鴎外の史伝に属す作品が好きだから、清張の歴史小説より初期の短編を評価するが、なんと言っても『昭和史発掘』が最高であり、あの現代史に対して挑戦した仕事は、彼にしかできない偉大な成果だと思う。
 『朝日と読売の火ダルマ時代』の「まえがき」に書いたが、過去10年間に読んで最も衝撃を受けた、鹿島昂の『裏切られた三人の天皇』を清張が読んだら、『幕末史発掘』をどんな具合に書くかと考えると、眠られなくなるほどの興奮を覚えてます。

L: 私は未だその本を読んでいないから、なんとも意見を言えないのが残念です。ただ、松本漬張は歴史感覚が優れているので、日記や古文書を懐疑して扱う精神を持ち、その背後にある動機や心理の分析を試みて、歴史の真相に迫って何かを発掘するのです。

F: シナの歴史は必ず前王朝が悪辣政治で、天命により王朝交替の革命が起きたから、今の支配者が正統だと書いてあるけれども、日本の歴史も支配者のために書き直しが行われ、史実を抹殺した現世賛美の作文です。だから、『古事記』や『日本書紀』が問題になるのは、藤原不比等が書き改めているからだし、書かれた歴史のほとんどが捏造に属すから、真相の解明には推理小説の手法が有効です。

L: そうなると司馬遼太郎より松本漬張が、推理発想の点で有利になるわけですね。

   <完>
 

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