カウンター 読書日記  『新しい階級社会、階級闘争』を読む。
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 『新しい階級社会、階級闘争』を読む。
 小泉純一郎という一人の「自己陶酔型人間」(精神科医の見立て)については、以上で一区切りをつけて、再び『新しい階級、新しい階級闘争』にもどります。

 第二章 4.格差に対する政府の責任

 5.「格差拡大は見せかけ」という詭弁

 6.「再チャレンジ」論の登場

 7.格差論争は形を変えた階級闘争

 の順に紹介していきます。

 ****************
 4。格差に対する政府の責任

 このように政府の政策は、さまざまな回路を通じて人々の間の格差に影響する。政府の政策は多様だから、場合によっては部分的に格差を拡大させるような政策が、容認されることもありうる。たとえば、国民生活全体の向上に大きく貢献するような特定の分野に、人や資金を誘導するための優遇措置などの場合が、これにあたる。
 しかしこれまでは、政府の活動は全体として、格差を縮小する方向を向いているべきだという合意が、おおむね維持されてきたといってよい。資本主義は自由競争を基本とする経済だから、そこには必ず競争での敗者が生まれ続ける。これを放置するならば、格差が極端に大きくなり、生活困難な人々が大量に蓄積される危険がある。政府には、こうした事態を避ける責任がある。

 たとえば日本国憲法第25条が「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定めているのは、許容される格差の上限を示したものということができる。自民党の新憲法草案憲法改正案でも、この条文については変更がない。この点についてはすでに、社会的合意が確立しているといってよい。だからこそ小泉元首相ですら、先に引用した国会での答弁で「貧困層を少なくするという対策と同時に」と、貧困対策だけは例外扱いしていたのである。
 したがって、たとえ政府が直接関与しない要因、たとえば市場経済の変動によって格差拡大がもたらされたのだとしても、その結果について政府は責任を免れない。もちろん、格差を完全になくしてしまうなどということは不可能だし、好ましいことでもない。しかし、合理的な理由もないのに格差が大幅に拡大するならば、所得配分の公正性が疑わしくなる。
 また、格差拡大は多くの場合、富裕層とともに貧困層を増加させる。「健康で文化的な最低限度の生活」ができない貧困層が増えることは避けなければならないし、こうした事態を防ぐのは、政府の基本的な役割のひとつである。

 格差の拡大を防止し、貧困層が生まれるのを防ぐ方法には、大きく分けて二つがある。
 ★ひとつは所得の再分配である。つまり、税や社会保険料などの形でいったん所得の一部をプールし、後にこれを再分配して格差を縮小させるのである。具体的には、生活保護や社会保障給付がこれにあたるが、間接的なものまで含めれば、教育や公共事業などの多くの政策にも同じような効果がある。
 ここで最大のポイントとなるのは、やはり累進課税であろう。近代以降の民主主義的な政府のほとんどは累進課税を採用し、高所得者から多額の税金を徴収する一方で、税金のかなりの部分を所得の少ない弱者救済にあてることを通じて所得の再分配を行い、格差を多かれ少なかれ縮小させる政策をとってきた。

 もっとも日本では、政府による所得再配分の効果が小さく、先進諸国の中では最低レベルでしかない(OECD『対日経済審査報告』二〇〇六年)。これは、所得税の最高税率の相次ぐ引き下げや、株式の配当と売却益に対する税率の軽減など、富裕層に有利な税制が導入されたことによるところが大きい。とはいえ税制全体としてみれば、いまのところ累進課税のシステムが完全に崩壊したとまではいえない。
 事後になってから再分配するというこの方法では、市場での競争や、企業の賃金決定そのものには介入しない。だから、富裕層や企業からの抵抗は、比較的小さくてすむ。実際、自由競争は最大限に保障して、敗者や脱落者にはセーフティネットを用意すればいいというのが、日本政府の基本的立場である。

 しかし、この方法には限界もある。大量の失業者が出ていても、また極端な賃金格差があっても、とりあえずはこれを放置し、後になってから再分配によって救済するわけだから、救済には時間がかかるし、保護の網の目から漏れて救済されないケースも起こりやすい。そもそも、救済を必要とする人々が生まれてくる構造そのものには手を触れないわけだから、貧困の発生と救済の、限りない「いたちごっこ」になりやすい。

 ★格差の拡大を防止し、貧困層が生まれるのを防ぐもうひとつの方法は、人々に一定以上の所得を保障するための規制である。たとえば政府は、最低賃金を定めて下層労働者の賃金を下支えしたり、規制を加えて雇用を安定させたり、過度の競争による労働条件の低下を防止したりすることによって、より直接に格差拡大を防止することができる。これらは、社会的に必要な規制ということができる。
 
 「規制緩和」をあたかも絶対的な善であるかのようにみなす議論が横行しているが、何でも規制緩和すればいいというものではない。規制緩和は、その社会的・経済的な効果によって是非を判断されるべきものである。そして政府は、必要に応じて規制を発勤し、格差拡大と貧困の発生を防止することが可能なのである。この意味でも、格差の動向に対する政府の責任はきわめて重い。
 

  5。「格差拡大は見せかけ」という詭弁 へ続く。 

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