カウンター 読書日記  『新しい階級社会、階級闘争』を読む。
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 『新しい階級社会、階級闘争』を読む。
 
 以下、心に響いた章・節を順に紹介していきます。

 第一章 格差社会の風景 
 3 増加する「みえないホームレス」


 雷門と浅草寺、仲見世の商店街で知られ、江戸時代から変わらぬ賑わいを見せる浅草。地下鉄の出口を出たら、雷門へ向かう人混みを横目に、隅田川岸を北上してみよう。しばらくすると川に沿って、ダンボールで作られ、青いビニールシートで覆われた「家」が林立するのをみることができる。ホームレスたちの住居である。
 このあたりは東京最大の寄せ場、つまり日雇労働者とその雇い主が集まる場所だった山谷に近く、墨田区の調査によると、川の東岸の墨田区側だけで500人以上のホームレスが生活している。その大部分は、50代から60代の男性だ。9割近くの人が仕事をしているが、一ケ月の収入が5万円以下という人が85%を占める。こうしたホームレスは、国が把握しているだけで東京都に4690人、大阪府に4911人、全国では1万9564人いるという(厚生労働省『ホームレスの実態に関する全国調査報告書』二〇〇七年)。

 しかし現実には、広い意味でのホームレスの数は、これよりはるかに多いと考えた方がいい。というのは若者を中心に、野外ではなく、簡易宿泊所、ネットカフェやマンガ喫茶などで寝泊まりをする人々が増えており、決まった住居がないという意味で、これらの人々もホームレスと考えられるからである。
簡易宿泊所といえば、山谷や大阪の釜ケ崎に集中する「ドヤ」と呼ばれる施設を思い浮かべる人も多いだろう。しかし最近では、主に若者を対象とした新しい簡易宿泊所が増加している。その最大手は、東京の都心部に宿泊施設を展開するエム・クルー社である。

 エム・クルー社によると、その事業は「コンストラクション」と「レストボックス」の二つからなる。まず同社は、主に中小の工務店を顧客として、建築・土木作業現場の軽作業・雑工事を請負っている。そして、この現場に送り込む登録スタッフを生活させる宿泊施設として、「レストボックス」と称する宿泊施設を経営しているのである。

 宿泊施設は近日オープンのものも含め、2007年8月現在で21ケ所。いずれも池袋、新宿、渋谷、上野、秋葉原など都心部の駅から徒歩圏内の貸しビルにあり、登録者は1900人に上る。利用者は家賃が払えない20代、30代が中心で、「家なき若者」のよりどころになっているという。基本的には男性専用だが、女性専用の宿泊施設も1ケ所ある。
部屋は二段または三段ベッドを備え付けた多人数の相部屋が中心で、同社はこれを「レストボックス・デイリーアンドシェアー」と呼ぶ。つまり、「日払い相部屋の休息箱」というわけだ。宿泊料は、一泊1780円が中心。同社の請け負う日雇作業に就くのが基本条件だが、他の仕事をしたり求職活動をしたりするのもある程度までは自由で、ここから同社は、自社の事業を「フリーター・求職者支援事業」と称している。

 ここに住むのは、たとえばこのような人々だ(「プレジデント」二〇〇七年七月二日号より)。
Aさんは大学を中退した後、地方のアパレルメーカーに就職、会社の東京進出とともに上京した。待遇は悪くなかったが、休みのない激務に耐えかねて退職。派遣会社に登録し、日雇の倉庫整理などで働いたが、収入は大幅に減少。家賃を払うために消費者金融に手を出し、借金が膨らんで家賃を滞納し、ある日鍵を付け替えられて閉め出された。こうして派遣の仕事を続けながらホームレスとなるが、警備員や警官に追い立てられる生活に耐えられず、レストボックスに転がり込む。アパートに引っ越そうにも、交通費すら出ない派遣ではまとまった金が残せるはずもなく、「どうしようもなかった」という。

 それでは、現在の生活はどうか。派遣会社から受け取る日給は7000円。所得税や交通費を天引きされると、手取りは6000円に満たない。ここからレストボックス代として約1800円を支払い、さらに食費、銭湯代、コインランドリー代などを払うと、ほとんど何も残らない。
派遣先から受け取る派遣料金からピンハネし、さらに宿泊代まで取り上げた張本人であるエム・クルー社長の前橋靖は、こう言ってのける。「毎日1000円残せば1カ月2万円貯金できると話しても、『そうは言ってもね』と自分を甘やかしてしまう。望む日給は現実より遥かに高く、理想と現実のギャップを埋める手だてももたなければ、就きたい職業に自分を近づけることもしない。社会の仕組みも悪いが、個人にも責任がある」(同「プレジデント」)。社会の仕組みや個人の責任を云々する前に、自分たちの収益がどこから来ているのかを考えた方がいい。

 レストボックスは、後で述べるネットカフェと並ぶ家のない若者たちの溜まり場として、しばしばテレビでも報道された。取材した人から私が聞いた話では、こうして報道されるたびに多くの若者たちが、「俺たちはそんな惨めな存在だと思われているのか」とショックを受け、レストボックスから退去したという。しかし前橋は、意に介していないようだ。「テレビなどでレストボックスが紹介されると、客観的に見られるからか、利用者の何割かがレストボックスを後にする。ここに長く居続けてはいけない。その意味では我々は居心地の悪さも提供することになる」(同「プレジデント」)。このように前橋は、若者たちを惨めな状況におくことによって、彼らの自立を促しているのだと強弁する。貧困を食い物にする企業―まさに「貧困ビジネス」というほかはない。 

 さらに、ネットカフェやマンガ喫茶などに寝泊まりする若者たちがいる。厚生労働省の調査によると、その数は全国で約5400人(『日雇い派遣労働者の実態に間する調査及び住居喪失不安定就労者の実態に間する調査』)。報道内容や民間団体の調査結果などをつなぎ合わせると、その実像が浮かび上がってくる。
首都圏青年ユニオン(主にフリーターを組織する労働組合)などで構成する「全国青年雇用人集会実行委員会」(以下、「実行委」と略記)は2007年春、全国10都市の34店舗のネットカフェで聞き取り調査を行った。その結果、76%にあたる26店舗から、長期滞在の利用者がいるという回答を得た。報告書はインターネット上で公開されているが、店舗の観察では次のような具合である。

○16席あるが、ほぼ毎日泊まる人が4人いる。30代から50代。長い人は四ケ月いる。大きなバッグをもっている。(東京、亀有駅前)
○週6曰くらい、ほぼ毎日泊まっている35歳くらいの人がいる。若い人でも、毎日日中にきている人が何人かいる。もしかしたら、夜勤いて日中休んでいるのではないか。(亀有駅前)
○ネットカフェに寝泊まりする人は三年前くらいから業界では問題になってきていたし、 社会問題になるのは遅すぎるくらい。ウチの店も、いまはいないが昨年夏には三ケ月以上滞在している青年が2人いた。2年くらい前からは、ネットカフェにも行けず、
ファミリーレストランでコーヒー1杯で夜を明かす人も出てきた。(東京京急蒲田)
○大きな荷物を待った常連さんは、10人くらいはいます。割引チケットを活用している方が多いです。(神奈川横浜西口)
○長期滞在は常連さんで20人ぐらいはいる。30~40代が多い。自分は働き始めて8ケ月だが、ずっと泊まりに来ている人もいる。みんな日雇の仕事で、日当で生活し ているという感じ。(神奈川川崎駅前)

 ★長期滞往者には、次のようなケースがある。

○この半年間ほとんど毎日泊まっているという27歳男性。実家にはいづらく、しかし 派遣なのでアパートを借りるほどの収入がない。1年くらい働き続けたら正社員になれるといわれているが不安。
○2年くらいずっとネットカフェに泊まっているという20代男性。専門学校を出てテ
レビ局のアシスタントになったが、一日中働かされ、時給に換算すると400円程度 で、心も体も疲れて退職。次の仕事では収入が大幅に減り、アパートの契約更新がで きずネットカフェヘ。現在はテレビ関係の深夜アルバイトで、夕方4時にネットカフェを出て朝まで働き、朝6時にネットカフェに帰ってくる毎日。月収は20万円ほどあるが、仕事が不安定なために、いつ収入がなくなるかわからず、アパートを借りようと思わない。
○週五日間ネットカフェに泊まるという30代女性。3年前、夫の暴力を苦に家を出てネットカフェ暮らしを始める。週三日のパートと、ときどきする夜のアルバイトで、
月収は9万円。週末は安いホテルに泊まっているので、辛くはないという。(以上 「実行委」調査より)
○ネットカフェを転々とし、体調が悪いときは3000円前後のカプセルホテルに泊ま るという30代男性。派遣会社に登録し、テイッシユ配りや倉庫の仕分けなどで週5 日働き、日当は7~8000円。体重は10キロ減り、背骨が曲がり、痔にも苦しんでいる。最近は「なぜ生きているのか分からなくなってきた」。「朝日新聞」2006年11月2日夕刊)
○この一年はほとんどネットカフェに泊まるという20代男性。夜間、日雇労働者とし
て土木の仕事をし、雑費を引かれた後の収入は7000円ほど。アパートを借りるだけのお金は残らない。(「東京新聞」2007年4月24日)

 インターネットカフェは、「インターネットタウンページ」に掲載されているものだけで、東京に181ケ所、神奈川県に85ケ所、埼玉県に58ケ所、千葉県に65ケ所ある。またインターネットカフェとマンガ喫茶に関する情報収集をしているウェブ・サイト「カフェマン」によると、東京23区内のインターネットカフェとマンガ喫茶は450ケ所に上っている。先にも紹介した厚生労働省の調査によると、東京23区内のネットカフェに週半分以上寝泊まりする人々は、約2000人。ひとつのネットカフェやマンガ喫茶に、平均して4、5人の「ネットカフェ難民」がいることになる。

 これら新しいタイプのホームレスは、公園や河川で生活するホームレスと違って、自然に目に飛び込んで来るというものではない。その意味で「みえないホームレス」といってもいい。しかし、気をつけてみればその姿は目にすることができる。どこの駅前にもネットカフェやマンガ喫茶はあるし、東京の主だった駅の近くにはレストボックスがある。
町を歩いていると、学生というにはちょっと年齢が高めの若者たちが、少々くたびれた普段着で歩いているのをみることが多くなった。ああ、フリーターなのだなと、何となく見分けがつく。街角で携帯電話をのぞき込んでいる若者たちの何人かは、日雇派遣の情報メールをチェックしているはずだ。そして彼らは翌朝早く、どこかの駅前でマイクロバスに乗せられ、その日の仕事場へと運ばれていくのである。

 


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