カウンター 読書日記  『新しい階級社会、階級闘争』を読む。
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 『新しい階級社会、階級闘争』を読む。
 2. 「普通の暮らし」を営めない人々


 前章で、経団連副会長・柴田昌治の「飢えて死ぬような人がたくさん出るのはいけないが、そこまでひどい格差ではない」という暴言を紹介したが、同じような感覚をもつ人々は少なくない。その日の食べ物にも不自由した昔の貧困に比べれば大したことはない、というのである。
 あるいは、格差が拡大したとか貧困が増えたといっても、それは物質的な問題で、精神的に豊かならいい、という声も聞く。
 格差社会をテーマとしたNHKの討論番組に出演したホリエモンこと堀江貴文は、格差拡大をどう考えるかという質問に「問題はない」と答えた上で、「格差といわれているのはお金の問題だが、生活の豊かさは収入とは比例しない。自分は年収200万だったこともあるが、生活の充実という点ではいまと変わらない」などと話していた(「日本のこれから・格差社会」2005年4月2日)。
 東大卒が売り物のタレント・菊川怜などは、「『格差社会』をどう生きる?」というテーマのインタビューに答え、国連難民高等弁務官事務所のスペシャルサポーターとして訪れたケニアの難民キャンプで、子どもたちが政治家になりたい、医者になりたい、サッカー選手になりたいなどと将来の夢を語るのを見て、「難民の子たちと接することで、経済的に豊かだから、生活が自由だから幸せというわけではないんだということがわかりました」などと語っている(「週刊ダイヤモンド」二〇〇六年九月二日号)。あまりにも幼稚なコメントだが、発想はホリエモンと同じだ。
 もちろん発展途上国の場合であれば、貧困層全体を減らすことより、食うにも困るような極貧層の救済の方が優先される場合はあろう。また日本でも、餓死の危険にさらされている人々はかなりの数に上ると思われるものの、それは15%前後にも上る貧困層の一部にすぎまい。そして、経済的に豊かだというだけで人が幸福になるものでないというのは、一般論としてはわざわざいうまでもなく、当たり前のことである。
 
問題は、貧困がさまざまな意味で生活のチャンスを奪うということである。第二章で触れた英国の実業家、ラウントリーに代表される初期の貧困研究は、★生存のための必要カロリー数をもとに貧困を定義していた。当然、この場合には貧困線は非常に低いものとなり、貧困層の範囲はかなり限定される。
 これに対して、現代の貧困研究を代表する英国の社会政策学者・ピーター・タウンゼントは、★標準的な生活様式、つまりその社会で一般的な慣習になっている生活の仕方を送ることができるかどうかを基準として、貧困を定義した。彼はこの立場から、人々の生活状態について詳細な調査を行っているが、その設問の中には「子どもを医院に連れて行ったことがあるか」「保険に入っているか」「親戚や友人を家に招いたことがあるか」「ふだん肉を食べるか」「晴れた日と雨の日それぞれに使う靴をもっているか」などという項目が入っている。
 いずれも餓死するかしないかに関わるようなものではないが、こうした行動をするのが普通の生活様式というものなのであり、ここから脱落している状態を「貧困」とみなすのである。

 国によって生活様式は違うから、日本で調査する場合には日本の生活様式を前提とした調査が必要になる。実際、いろいろな工夫をした調査が行われている。これらの調査では、収入額や耐久消費財の所有状況などのほかに、「冠婚葬祭への出席とご祝儀」「晴れ着や礼服の有無」「正月の習慣」など、いかにも日本的な習慣も項目に含まれている場合がある。晴れ着や礼服がなければ、冠婚葬祭や正月の集まりにも出席しにくいから、普通の人付き合いをすることが困難になっていく。これが、貧困というものなのである。

そして多くの研究では、生活保護基準の前後のある線で、耐久消費財の所有率や、普通の生活習慣をとることのできる人の比率が大きく下がるということが明らかにされている。これが、貧困と他の人々を分かつ「貧困線」である。

最近のニュースを見ていると、この貧困線を割り込む人々が増加していることをうかがわせるものが少なくない。
 貯蓄のない世帯は、1987年にはわずか3.3%だったが、2005年には23.8%と調査開始以来最高になり、2006年も22.9%と高止まりしている(金融広報中央委員会「家計の金融資産に開する世論調査」)。生命保険への加入率は、1994年の95.0%から低下を続け、2006年には87.5%となった。しかも解約理由や加入しない理由では、経済的理由の割合が多くなっている(生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」)。
 乗用車の普及率は1993年に80%台に乗り、2003年には86.4%と史上最高を記録したが、その後は伸び悩み、2007年には83.9%まで低下している(内閣府
「消費動向調査」)。
日本経済新聞社が首都圏に住む20代の若者を対象に行った調査によると、乗用車の所有率は2000年の23.6%から13.0%へと10ポイント以上も低下し、また「乗用車が欲しい」人の割合も48.2%から25.2%に激減しているという(「日本経済新聞」2007年8月22日)。
 貯蓄や保険は、生存するために必須というわけではないが、安定した生活を送るためには不可欠のものだろう。乗用車も、大都市の中心部ならともかくとして、いまやほとんど生活必需品である。「普通の暮らし」に必要な財や備えをもたない人々が増えているのである。

 *********************
 


  3、若者の中に形成されつつある巨大な貧困層 へ続く。


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