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●『新しい階級社会、階級闘争』を読む。
 『新しい階級社会、階級闘争』を読む。

 NHKスペシャル「ワーキングプアⅢ」放送を前に、

 目次を一覧、<●第三章 貧困化する日本>から紹介していきます。

 ***************

 
1. 貧困大国・日本

 政府がどんなに否定し、事実から人々の目を背けさせようとも、私たちは格差拡大を、容易に目でみて、耳で聞き、肌で感じることができるようになっている。そのことを最も明確に示すもののひとつは、貧困層の増加だろう。
 貧困層の増加は、何年も前から研究者など一部では注目されていたが、この事実を広く知らせることになった最大の功績者は、なんといってもOECDである。
 2005年に公表された「1990年代後半におけるOECD諸国の所得分配と貧困」と題されたレポートは、可能な限り各国の最新のデータ(国によって多少の違いがあるが、ほぼ2000年前後のもので、日本は2000年)を用い、これを相互に比較できる形に変形して、所得格差と貧困率の比較を行った。その結果は、多くの日本人にとってショッキングなものだった。

 まず所得格差について見てみよう。図表3・1は、OECD諸国の経済格差を、ジニ係数という指標で比較したものである。
 ジニ係数は、国際比較や時系列比較によく使われる格差の指標で、最大値が1で、最小値は0。つまり、その国の富を一人の独裁者がすべて独占しているというような、最大限に格差の大きい社会の場合に1、逆に全員の所得が等しいという、まったく格差のない社会の場合に○の値をとる。もちろん、現実にはジニ係数が1や0になることはなく、ほとんどの社会では0.2から0.6の間に収まる。
 ただしジニ係数は、どのようなデータを使うかによって値が変わってしまう。第二章で触れたように、再分配前所得(当初所得)と再分配後所得のどちらに注目するかが重要だが、それだけではない。世帯所得に注目するのか、それとも個人所得に注目するのか。世帯所得に注目する場合、世帯による人数の違いを考慮するかしないか。ジニ係数はそれぞれ違ってくるので、注意が必要である。
 OECDがここで用いているのは、当初の世帯所得から税金などを引き、年金や社会保障給付を加えた再分配後所得を、家族の数によって調整したものである(調整の仕方については後述)。こうするとジニ係数が全体に小さめに出ることになるが、国際比較には適した方法だといえる。

 日本のジニ係数は0.314で、OECD平均の0.306より大きく、★27ケ国中10番目である。しかし、日本よりジニ係数が大きい9ケ国には、トルコやメキシコ、ポーランド、ポルトガルなど、先進国とはいいがたい国が多い。ジニ係数が日本より小さい国に目を向けると、ドイツ、フランスをはじめとする大陸ヨーロッパの代表的な国々の多くと、北欧諸国のすべてが並んでいる。★日本は先進国の中では、かなり経済格差の大きい部類だということができる。
 次に、貧困率をみてみよう。貧困率にはいくつかの計算方法があり、一義的には決まらない。それは「貧困」をどのように定義するか、たとえば所得がどこから下の場合を「貧困」と呼ぶのかという問題があるからである。
 
 この境界線のことを★「貧困線」というが、これを人々の生活実態に即して正確に算出しようとすると、最低限度の生活に必要な消費財の量とそれぞれの価格を計算し、人々の可処分所得と比較するという、かなり面倒な作業が必要になる。コメは日本では必需品だが欧米ではそうではないというように、必要不可欠な消費財の中身は国によって違うし、物価水準もさまざまだから、これでは国際比較はほとんど不可能に等しい。
 このため国際比較研究では、次のような簡便な方法が用いられる。
 まずジニ係数と同様に、再分配後所得を家族の人数で調整する。調整するといっても、家族の数そのもので割るわけではない。家族の数が二倍になっても、必要不可欠な生活費は二倍にはならないからである。
 そこでよく便われるのは、家族数の平方根で割るという方法である。この場合、たとえば年収300万円で一人暮らしの人と、年収600万円で四人暮らしの人は、600÷√4=300だから、同じということになる。これは、けっこう実感に合うといってい
いだろう。このように世帯所得を家族数の平方根で割ったものを、「等価所得」という。

 次に、等価所得の中央値を計算する。
 中央値とは、所得の多い人から少ない人までを並べたとき、ちょうど真ん中に位置する人の所得のことである。平均値ではなく中央値を使うのは、第二章でも述べたように、所得や資産の場合には平均値がごく一部の高額所得者や大資産家に引っ張られて、上の方に偏るからだ。
 そして、中央値の半分以下の所得しかない人々を「貧困層」と定義する。「中央値の半分」というこの基準は、あくまでも便宜的なものにすぎない。しかし実際に計算してみると、生活保護基準を使った場合とほぼ一致していて、けっこう現実的である。
たとえば京都大学教授の橘木俊詔は、東京の生活保護基準を用いた場合、日本の貧困率は15.8%になるとしているが、これはOECDの15.3という数字とほとんど一致している(橘木俊詔『格差社会』)。ちなみにOECDの報告書では、等価所得が138万円未満の場合を「貧困」としている。つまり、一人暮らしならば138万円、四人家族なら276万円以下しか所得がない場合が「貧困」ということになる。
 
 図表3・2は、こうして算出された貧困率を国際比較したものである。日本の貧困率は15.3%で、OECD平均の10.2%を大きく上回り、27ケ国中の5番目。しかも日本より高いのは、米国を除けば先進国とはいえないメキシコ、トルコと、人口わずか400万人のアイルランド。
 
 新聞などでは、日本の貧困率が先進国では米国に次いで第二位だ、というふうに書かれることが多かったが、これはこの三ケ国を考慮に入れていないからである。つまり「主要先進国」の中では第二位ということだ。経済格差は「大きい部類」だが、貧困率は「世界第二位」。ここに、日本の貧困の深刻さが現れている。ちなみに15.3%ということは、単純に人口をかけると約1950万人。オーストラリアやスリランカの人口とほぼ同じである。
 
 しかも日本の貧困率は、急速に上昇している。OECDの報告書によると、日本の貧困率は1980年代半ばでは11.9%、1990年代半ばでは13.7%だった。これとは別の方法によって、貧困率の変化をみたのが、図表3・3である。用いたデータは「就業構造基本調査」の個票データで、調査対象は15歳以上である。
 2002年の貧困層は、約1634万人。15歳以上人口に占める比率でいうと、15.4%である。1992年が1206万人(11.9%)だから、10年間で428万人も増えたということになる。性別に見ると、貧困層は男性より女性の方がはるかに多く、女性は貧困層の6割近くを占めている。10年間の増加数をみても、女性の方が多い。
★女性を中心に、膨大な貧困層が蓄積されつつあるということがわかる。
 最近、「ワーキングプア」という言葉がよく聞かれるようになった。「働いているのに貧乏な人」という意味である。ワーキングプアが注目されるひとつの背景には、「働いていない人は貧困でも当たり前だが、働いている人が貧困なのはよくない」という認識があるように思われる。
 このような見方は、働きたくても働けないお年寄りや失業者の窮状を無視することにつながりかねないという点で問題だ。しかし、現役で働いている人々の内部の格差拡大を雄弁に物語る事実としては、ワーキングプアの問題はたしかに重要である。その規模は、いくつかの統計からもうかがい知ることができる。

 たとえば★人事院の「民間給与実態調査」によると、年収200万円以下の給与所得者は981万人(2005年)で、とくに小泉政権の時期にあたる最近5年間の増加は157万人と著しく、しかもそのうち★年収100万円以下の増加が59万人をも占めるのが注目される。
 ただし、このなかには夫が正社員として勤めているパート主婦や、中高所得の親と同居するフリーターなども含まれる。そのすべてが生活困難な貧困層だとはいえないから、実態を正確に把握するためには、世帯全体の収入を考慮し、等価所得にもとづいて計算する必要がある。
 
 図表3・3の下半分は、先に示した貧困層全体の中の、有職者のみを集計したものである。★これがほぼ、ワーキングプアとみてよい。その数は2002年で534万人。10年間で75万人の増加である。男女別では女性の方がやや多く、増加幅も大きい。しかも、その後になって「小泉改革」が本格化したことを考えると、現在ではこれと比べても大幅に増加しているとみた方がよい。もちろんこのほかに、これらワーキングプアと同居している子どもたちや無職のお年寄りがいるわけである。

 計算方法をいろいろ変えてみても、日本の貧困率はだいたい15%台になることが多い。したがって、この数字には十分根拠があるといっていい。★日本は米国に次ぐ、世界に冠たる貧困大国なのである。
 


2.「普通の暮らし」を営めない人々  へ続く。



 
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