カウンター 読書日記 『貧困襲来』(4)・闇の北九州方式。
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『貧困襲来』(4)・闇の北九州方式。
 再び、『貧困襲来』にもどり、続けます。

 5 北九州市から全国が見える
 

 ここ数年の生活保護をめぐる流れを見てきたが、このまとめ方に違和感をもつ人もいるかもしれない。あざとく考えすぎ、悪く考えすぎ、と。しかし、それがウソでないことを証明している地方自治体がある。北九州市だ。
 北九州市といえば、*先にもふれた餓死事件*が有名だが、あの事件が北九州市で起こったのは偶然ではない。北九州市は、ここ数年の全国的な「適正化」の動きを、そのはるか以前から実行している町だからだ。
 北九州市にとっては、生活に困っている人がどれくらい相談に来るかは、ハッキリ言って関係がない。何十人、何百人相談に来ようが、生活保護への切符には限りがある。限定発売だ。「残念でしたねえ。今月の切符はもう売り切れちゃいました。来月になったらまた出せるかもしれないけど、それまであなたが生きていられるかどうかは知りません。ま、せいぜいがんばって」ということだ。
 *北九州の餓死事件については、当該章を次回にアップします。

●「ヤミの北九州方式」
 06年10月、私は「北九州市生活保護問題全国調査団」という弁護士さんたち中心の調査団に参加して、実際に北九州市で生活保護申請に同行した。そのとき、申請する本人との合意の上で面談室に同席しようとしたら、担当職員(面接主査)から断られた。
 面談室に第三者を入れないのは本人のプライバシー保護のためだから、申請者本人が望んでいる場合には同席は認めなければならない。福祉事務所に拒否する理由はない。ところが、その面接主査は「おまえ(私のこと)がいると相談を始められない」と、ひととおり怒ったと思ったら、課長を呼んで私をつまみ出しにかかった。課長も課長で、プライバシー保護を理由とする拒否が通らないとわかると、「施設管理権上認められない」「同席者がいると職員がリラックスできない」と、他の福祉事務所では聞いたことのないめちゃくちゃな理由を言った上で、最後には、課長も面接主査も出ていって相談そのものをボイコットされてしまった。
 第三者の同席というのは、本人が心細いとか、知識が十分でないとか、職員の前で萎縮してしまうとか、いろんな理由があって大事なものだ。逆に言えば、第三者を排除した上でなら、密室で二人だけ。何を言っても証拠は残らないし、好き放題できる。申請に来た本人を孤立させ、イジメ抜き、「もうこんなところには来たくない」と思わせることができる。
 また北九州市では、生活保護から15~64歳の稼働年齢層を排除しつくしている。たとえば、路上で暮らす野宿の人は、北九州市では救急車で病院に搬送でもされなければ生活保護を受けられない。母子家庭に至っては「生活できないなら、子どもを施設に預けて働け」と親子はなればなれを迫られる。その結果、今北九州市では生活保護を受けている母子世帯の比率がとても低い。他の政令都市では2000~3000世帯なのに、北九州市だけは200世帯弱と10分の1程度だ。

  生活保護受給者数は、九五年に底をついて以来、全国で増加し、全体で1.7倍に増えているが、北九州市だけは減少している。この背景には、生活保護予算を年間で300億円に抑える、それ以上ビター文出さないという予算配分上の鉄則がある。
 そして、北九州市はこの鉄則を守るためのシステムをつくり上げた。

①:面接専門の係長級の職員(面接主査)を置いて、申請を徹底的に排除する。
②:「自立重点ケース」を選んで、その人たちの保護を是が非でも廃止する、
③:数値目標を決めて、それを毎月「速報値」として市長などに回覧し、福祉事務所ごとの「成果」を競わせる。①で生活保護への入り口を狭めて、②で生活保護から追い出せそうな人は追い出し、③で数値を競わせて人事評価に反映させる、という実に“見事な”システムだ。
 たとえば北九州市門司区の2006年度生活保護申請件数は、年度始めの段階ですでに年間142件と決められていた(門司福祉事務所「平成一八年度生活保護業務運営方針等資料」)。1か月あたり12件。そしてこれがちゃんと守られているかが、毎月の「開始・廃止(月末)速報」で市長・助役に回覧され、チェックされる。企業で言えば、営業成績のノルマを課され、毎月社長がチェックするのと同じだ。現場職員は、その数字を意識せざるをえない。どうしたって「限定発売」になる。
 これが「ヤミの北九州方式」と呼ばれるものだ。餓死事件が起こってあたり前だ。
●「ヤミの北九州方式」が全国化する

 餓死事件によって、北九州市は相当にたたかれた。その影響もあっただろう、北九州市では07年2月の選挙で、20年間にわたって君臨した末吉興一市長の後継者が敗れ、民主党の北橋健二氏が新市長となった。新市長は餓死事件の再調査を約束しており、福祉事務所の面接室に生活保護の申請書を常備するようにもした。北九州市としては画期的なことだ。これで北九州市もようやく全国並みになろうとしている。
 しかし複雑なのは、これは「ひとり北九州市だけがひどかった」ですむ話ではない、ということだ。
 

 北九州市は1960年代から、厚生労働省の役人を幹部に迎えて、その直接指導の下で生活保護削減を進めてきた。ここ数年、国レベルで行われてきたことは、すべて北九州市で実証ずみのことばかりだ。今は北九州市でやったことを全国的にやろうとしている時期なのだ。餓死事件の本当のおそろしさは、「ヤミの北九州方式」が今全国展開しようとしている、という文脈を踏まえなければわからない。あれは、想定外の突発事故ではなく、生活保護削減の末に必然的に引き起こされたものあり、そして今、その方式が全国化されようとしている。私たちは、全国で餓死が起こるような時代に入っていこうとしている。
   

 稼働年齢層の中から「重点ケース」を選び出し、就労指導を行って保護の停止や廃止にもっていく、という②のやり方は、06年3月の厚生労働省の「手引き」にそのまま引継がれた。また、主治医が「働けないだろう」と診断した人が本当に働けないのかどうか、福祉事務所が判定会議を開いて吟味し、異なる結論が出れば主治医を“説得”するという「稼働能力判定会議」の設置が07年度から全国の福祉事務所に導入されるが、これも北九州市では80年代から採用されている方法だ。厚生労働省直轄で、保護率を下げるためのあの手この手を考えはじめて40年。今、その“成果”が全国に適用されようとしている。 
北九州市は、あまりにもひどすぎた。その結果、たたかれた。北九州市で改善のきざしが見える一方、全国規模では「ヤミの北九州方式」が普及しつつある。北九州市が改善されればすべて丸くおさまる、というものではない。
 
 ●「地域福祉の北九州方式」-餓死は誰の責任?  へ続く。

 


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この記事に対するコメント
北橋健治市長には 謝ってほしいです。
【2009/12/15 03:27】 URL | 日本共産党めっちゃ大嫌い男 #20VxwrKY [ 編集]

北橋健治市長の責任です。
【2009/11/02 02:20】 URL | #20VxwrKY [ 編集]


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