カウンター 読書日記 『オールニートニッポン』(15)
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『オールニートニッポン』(15)
  ●あとがき 

  後日談から始めよう。
 「オールニートニッポン」に出ていただいたゲストがその直後、次々と大ブレイクしたからだ。
 まずは松本哉さん。本文にあるように、彼は放送後、本当に「杉並区議選」に立候補し、選挙期間中の1週間、高円寺を「解放区」にしてしまったのだ。この1週間は「高円寺一揆」と名付けられ、たぶん歴史の教科書にも載るはずなので覚えておくように(ホントか?)。
 それにしても、すばらしい1週間だった。「選挙運動」と称して連日駅前を陣取り、サウンドカーで大音量で音楽をかけ、数百人が踊り狂うという「貧乏人の生の祝祭」!!・・・ 何しろ「選挙運動」なので警察だって手を出せない。夜8時まで音楽かけ放題、駅前占拠し放題、歌い放題、踊り放題なのだから金のないヒマ人にはたまらない。私も「応援演説」と称して駅前トークショーに出演させてもらった。選挙結果はというと1061票を取り、落選となったが、路上解放区を一週間にわたって作ってしまった松本さんは明らかにすべての候補者に勝っていた。というか、「杉並に貧乏人の一揆を!」なんて選挙ポスターに謳う候補者が1000票以上も取れたってだけで事件ではないか。
 
そうして梶屋さんもやってくれた。オールニートニッポン出演後、今度はいつの間にか「グッドウィルユニオン」委員長となっていた彼は、今や「37億円の男」(勝手に命名)である。なぜ37億円なのか?
 まずはグッドウィルユニオンの説明から始めよう。グッドウィルユニオンとは、折口(コムスンとかで悪いことをした変な髪型の金持ちのオッサン)率いるグッドウィルの日雇い派遣で働く人々で結成された労働組合である。この労働組合の委員長に梶屋さんが就任し、07年の3月ころからグッドウィルに対して「データ装備費の返還」(グッドウィルの日雇いで働くと、1回につき200円が「データ装備費」という意味不明な名目でひかれる)、「最低時給1200円」「有給休暇」「日雇い労働保険の加入」「拘束時間の未払い賃金」などを求めて団体交渉していたのだが、07年6月、なんとグッドウィルは「データ装備費2年分の返還」を発表したのだ。対象人数は80万人、総額37億円である。梶屋さんたち「グッドウィル
ユニオン」の行動が、本気で本当に37億を動かしてしまったのだ。
 グッドウィルで働いても、せいぜい1日8時間で6000~7000円。たった200円のデータ装備費でも、何年も働いていれば数十万にもなっている。そしてグッドウィルは、データ装備費だけで年間15億円も儲けているのだ。貧乏人から絞り取ってだ。だからこそ、グッドウィルユニオンの成し遂げたことの意味は大きい。現在、グッドウィルユニオンは、「2年分の返還では不十分」として、集団訴訟を準備中である。なんてシビれる話なんだろう。フリーターの反撃は確実に始まっている。
 
そして湯浅誠さんも、「ネットカフェ難民」「貧困」の問題で大活躍中だ。『貧困襲来』という本も出版した。湯浅さんの誠実であまりにも説得力のある言論活動によって、この国の「見えない貧困」が確実に可視化されていくのを感じている。湯浅さんが事務局長を務める「反貧困ネットワーク準備会」は07年7月、「もうガマンできない!広がる貧困 人間らしい暮らしを求めてつながろう」という集会を間催し、600人以上を集めた。今野さんも「反貧困ネットワーク」に参加しながら「POSSE」の活動を続けている。彼も近々本を出版するらしい。ちなみに私も「反貧困ネットワーク」に参加している。
 
佐野さんはと言えば、敗者復活応援事業「ビッグイシュー基金」を立ち上げようと奔走中だ。私は恐れ多くもビッグイシュー基金の「相談役」という立場を仰せつかった。ホームレスが中高年だけの問題ではなくなった現在、何か役に立てればと思っている。
 
杉田さんは、「フリーターズフリー」を刊行し、そのイベントなどに大忙しだ。4年をかけて作られた「フリーターズフリー」はさまざまなメディアで話題を呼び、フリーター問題を巡る流れが変わっているのを感じる。自分たちが動くことで社会は少しは変わるのだ。そんな手応えを私も強く感じている。
 「希望は、戦争。」という爆弾を日本に投げ付けた赤木さんは、精力的な言論活動を続けている。彼の論文から、右傾化していると言われた若者の意識が変わってきたことをつくづく感じる。彼の身も蓋もないあまりにも「正しい」現状分析によって、「愛国ではもう誤魔化せない」と多くの若者が気づいたからだ。赤木さんも本を出版するそうだ。
 
そして大槻さんは、(第5章に登場、略させていただいた。すみません)放送でも言っていた『グミ・チョコレート・パイン』の外伝を『野性時代』で発表! また復活した筋肉少女帯はCDも出し、ツアーもやるようで、ファンとしてはたまらない展開に思わずニヤけてしまう。
 
月乃さんは「こわれ者の祭典」の最大動員を更新し続けている上、最近、『病気だヨ、全員集合!』という本を出版した。その本の対談で長年大ファンだった戸川純さんと会えたことがよほど嬉しかったらしく、会うといつもそのことばかり言っている。
 
そしてAKIRAさんはと言えば、ライブで全国をまわる日々だ。きっと一生、「旅人」のまま生きていくんだろう。どこにも着地せずに生きるその姿は、常に「今、ここ」で100%で生きることとイコールだ。いつか私も、旅人として生きていきたいとAKIRAさんに会うといつも思う。
 
番外編としては、今回の本には収録できなかったのだが、同じくオールニートニッポンに出演してくれた外山慎一氏が出演直後に都知事選に出馬し、大ブレイクするという事件もあった。なんかオールニートニッポンって、ブレイク直前の人を無意識に呼んでいるみたいだ。
 さて、もうひとつの後日談はニートスタッフ編だろう。
 数回の放送を経て、彼らがいかに愛すべきバカかということがよくわかった。
 何しろ、もっとも基本的な「マイクの音を出す」という作業も、どうやら「偶然」でやっているらしい。つまり、やり方がいまだにわかっていないようなのだ。
 他にもいろいろ不思議なことがある。なぜ、マイクチェックに毎回10分もかかるのか(普通は1分くらい)。なぜ、本番中、スタッフなのに率先して私語をしているのか。しかも、逃亡したニートは数知れない。いつの間にかいなくなってるニートがいるかと思えば、いつの間にか常連客からスタッフになっているニートがいる。また、ニートスタッフがゲストに出演依頼をし、いつまで経っても返事がこないのでやきもきしていると、なんと「メールが届いていなかった」なんて初歩的なミスもある。そんなことの連続だ。大丈夫なのか?
 それが大丈夫なのだ。
 今、この国では、やたらと「即戦力」ばかりが求められる。就職で求められるのも「即戦力」、求人誌に躍る言葉も「即戦力」。しかし、生まれながらの即戦力なんて一体どこにいるのだろう。現場で失敗し、怒られ、ときにはモメ事を起こし、そしてときには逃亡しちゃったりして人は学んでいくのだ。そういう「余裕」が今、日本の企業社会から完全に失われた。だからこそ、ニートの、ニートによる、ニートのためのネットラジオ「オールニートニッポン」のしていることは重要だと思うのだ。
 そういうことを、私は「オールニートニッポン」に登場してくれたゲストの方々から学んだ。ゲストの方々はそれぞれやっていることも肩書きも経歴もバラバラだが、ただひとつ、共通していることがある。それは「底抜けに優しい」ということだ。ここまで読んできた人にはわかると思うが、彼らはみんな、信じられないほどに優しい。人類愛と言っていいほどだ。
 
今、この国では「自己責任」を過剰にとることが美徳とされ、何か条件つきでしか存在を許されないようなことになっている。生きる価値がある人間とない人間とが、日々無情にも選別され続けている。そんな風潮に、彼らは、当たり前に異議を唱えている。役立たずだって貧乏だって、ニートだってフリーターだってホームレスだって、生きてたっていいじゃん。存在していいじゃん。条件満たしてる必要なんてないじゃん。っていうか、社会に目を向ければ問題がたくさんあるじゃん。そっちを責めずに個人を責めたって、みんな心を病むばっかじゃん。
 この視点は、今の日本から急速に失われつつある。だからこそ、彼らと長い時間をかけて語り合えた意味は大きいと思うのだ。
 そんなゲストの皆さんには何度御礼を言っても足りないくらい、大感謝だ。が、私にあえて、言わせてほしい。「オールニートニッポン」を支えたのは、紛れもなく、生粋ニートのスタッフであると。
 
誰よりも早く現場に来て、セッティングし、「偶然」の音出しに時間をかけ、私のパシリになってくれ、打ち上げにお客さんを誘導し、台本を作ってくれ(最初のうちだけだけど)、ゲストに出演依頼をしてくれ(メール届かないけど)、そうしていつも現場を盛り上げてくれたあなたたちがいなければ、絶対にこんなに面白い「場」は作れなかった。あなたたちはもうすでに「オールニートニッポン」の即戦力だ。あなたたちの姿は、多くのニートに勇気を与えたはずだ。ありがとう! そして陰の参謀、コトバノアトリエの山本繁さんにも、最大級の感謝を込めてありがとうと言いたい。
そしてそして、「オールニートニッポン」の書籍化、というスゴいことを思い付いた椎野礼仁さん(イラクに一緒に行った)、祥伝社新書の小川さん(中華料理を奢ってくれた)、そしてこの本に関わってくれたすべての皆さんにも、最大級の感謝を込めて。
 オールニートニッポンは、まだまだ続きます。会場で、そしてネットラジオで会える日を楽しみに。
                 07年8月 雨宮処凛
 

 **********

『オールニートニッポン』(完)。
   

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