カウンター 読書日記 続・『「兵士」になれなかった三島由紀夫』
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続・『「兵士」になれなかった三島由紀夫』
 ● 再び、『名前のない花』から、引用する。
 三島が「兵士」として参加(まあ主観的には指揮だろうが)したかった、自衛隊という
 「軍隊」の現状の一断面を鋭く衝いた部分を、引用していく。
 (★は、便宜上つけたもの)
 ******************* 


 <境界を越えない男たち>
 還暦を過ぎて三ヵ月ほど無為のまま遊んでいる。
 人によってはそんなに何もしないと不安じゃないですかと言うのがいるが、そういうのは海外でよく言われる日本人病というやつで、世界には、フ」いつは一日中何もしないのによく食っていけるな」という人類がむしろ大半を占めていて、先進国の人々は日々に追われるという奇病にかかっていると見てよい。
 幸い私は第三世界の生活が長かったせいか生活のペースをたちどころに東京側にシフトすることもできるし第三世界側にシフトすることもできるという特技を持っている。では第三世界を旅したら誰でもそのような特技が身に付くかというとそれは微妙なところで、ただ旅してそういう風景を(距離を置いて)見るだけではだめである。やはり溶けこんでそういった生活を実際に行い、細胞の隅々にまで染みこませねばならない。
 そういったものが染みこんでいるかどうかの判断をするには耐菌能力がその人に備わっているかどうかがひとつの目安になると思っている。つまり現地に溶けこむ過程で脆弱な日本人ぱちょっとした菌にも負けてことあるごとに下痢腹痛をぱじめとする病にかかるわけだが、それは鉛筆一本にも抗菌処理が施されているような異常とも見える無菌国家に生まれた人間としてしょうがないことだ。しかしそれは病にかかるごとに耐菌能力が向上して蘇生する。
★たとえばサマワの自衛隊で六十名もの隊員が激しい下痢腹痛に悩まされ脱水状態にあると聞くが、彼らは現地において境界に囲まれた過保護生活を送っており、水のたぐいも当然★ミネラル・ウォーターを供給されていると想像される。そういった過保護環境においてさえあれだけの病人が出るというのは、日本の若者の環境適応能力がいかに落ちているかが知れる。先般オリソピックの予選のために試合に行ったサッカー選手もまた下痢腹痛の洗礼を受けている。スポーツならまだ因果が自分に返ってくるだけの話だが、自衛隊は別だ。自分も守ることのできない軟弱な体質で海外で人のお節介なぞできようもない。★どうやら日本の自衛隊というのはまだ人前に出してはいけない代物のようである。
 自衛隊員やサッカー選手の例を挙げるまでもなく最近は若い男が総倒れらしい。先日もインドに行って来た二十代の女性の話を聞いていて耳を疑った。彼女がバラナシの食堂でカレーを食って食堂で出された水を飲んでいると、そこにペットボトル入りのミネラル水をお守りのように抱えた二人の日本の若い男の旅行者が入ってきて「君 そんなの飲んじゃ危ないよ!」というご忠告にあずかったそうなのである。
旅してもすぐ群れたがる軟弱男、そしてどうやら昨今スタイル化してしまったらしいペットボトル旅行者。彼女は「一体なんなの、この男たち」と思ったらしいが、とりあえず「反論するのはチョー疲れそうな感じがするのでやめた」と言っていた。
 旅というのは国境を越えるように己自身のそれまで培ってきた精神や身体を、ある境界を越えさせることによってより堅牢なものにしていく作業でもあるわけだが、昨今旅の「境界を越えようとしない」若い男が増えているというのぱ事実である。このような男たちは当然耐菌能力を身につけて日本に帰ることはできないばかりか、つまり無為の時間を楽しむ能力も身につけられなかったことは自明であり、旅をした意味がない。
 しかしそのふがいない旅の因果は自分に返ってくるだけで他者に迷惑はかからない、とばかりも言っておられない。
 私はこの「境界を越えない」去勢男たちがここ二十年の管理教育で大量生産され、世の中に一定の数量を占めたことが、昨今の社会にきわめて今日的な性格を与えているのではないかと考えている。
 ★それは件の自衛隊イラク派遣や独断的な多国籍軍参加表明、その場しのぎの保険システム改変の強引な法案可決などの小泉首相のやりたい放題政治に対し何の世論抵抗もなく、小泉支持のパーセンテージが変わらないことが、この社会の虚無をよく表している。そして支持さえあれば何をやってもよろしいとさらに厚顔になっていく。
 この不可思議な今日的状況を形づくっているもののひとつに、境界を越えない相当大量の去勢男子の存在が少なからず作用しているように考えるのだがどうだろうか。
 この野郎、と文句を言ってくる青年男子がいるとすれば、それは境界を越える若者なので対象外ということだが、あのバラナシの食堂で旅の女性が遭遇したような「ペットボトル坊や」的なるものの存在の弊害を日常生活のなかで実感しているかどうか。
 そういう坊やがいたとするなら、とりあえず反論するのはチョー疲れそうな感じがするのでやめるのではなく、ペットボトルを彼の手から取り上げることが、巡り巡ってみなさんの住環境を良くすることなのだよ、と俺は彼女に言ったがね。
  
 

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