「京都は日本の伝統」というキャッチフレーズを見て、不思議に思っても、それを否定する人はいないだろう。けれども、日本の文化、日本の伝統、日本人とは一体何だろうか。異文化交流の英語の授業で“l am a Japanese.”と答える学生たちに「日本人」とは何かと問うたところ、「日本語を話す」「日本料理を食べている」「日本で生まれた」「両親が日本人である」等々の答えがかえってきた。しかし、いずれの答えも満足できる答えではない。アメリカやブラジルに住む日系2世、在日韓国人、帰国子女、ハーフの子供たち一今の国際社会に生きる子供たち-は自己をめぐる問題をたくさん抱えている。 日本に安穏と生活していると、とかく忘れがちな日本、その文化、その伝統に関する基本的な問題は、自己のアイデンティティを探ることに関わっている。